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2007年11月

7.自主防災組織リーダー研修会

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 滋賀県では、10月11日(木)と12日(金)の2日間の 日程で、東近江市の滋賀県消防学校を会場に「平成19年度 自主防災組織リーダー研修会」を開催しました。
 この研修会は、地震や風水害などの大規模災害による被害 を最小限にとどめる上で大きな役割を担う住民の「共助」に よる防災力の向上を目指して、地域においてリーダーとして 活躍していただける人材の育成を図るため、県内の自主防災 組織のリーダー等を対象に、総務省消防庁の後援のもと、財 団法人日本防火協会と滋賀県との共催により実施したもので、 県内各地から25名が参加しました。
 1日目は、財団法人日本防火協会 益本 圭太郎常務理事および滋賀県県民活動課 青山 達課長のあいさつ、研修日程等の説明の後、滋賀県の防災危機管理局および流域治水政策室の職員を講師に「滋賀県の防災対策について」の講義から研修をスタートしました。講義では、琵琶湖西岸断層帯による直下型地震をはじめとする地震防災対策や近年の地球温暖化の影響で頻発している集中豪雨による水害に対して流域全体で備える流域治水政策など、防災対策に関する基礎的な知識を習得していただきました。
 午後からは、大阪人間科学大学教授の片寄 俊秀教授から、「真の防災まちづくりとは「いいまち」をつくること -「しのぎの防災システム」の提唱」と題して講演をいただき、防災の観点から本当にいいまちづくりを進めるためにどうすればよいか、長崎水害の実際の体験談を交えながらの示唆に富む話に参加者は熱心に聴き入っていました。
 その後、神戸市の人と防災未来センター 語り部の稲谷 利輝氏から、「阪神・淡路大震災の体験について」講演をいただき、自宅の倒壊で下敷きになったことやご近所の皆さんと協力して9名の方を助け出したことなど、記録写真を交えながらの生の体験談に参加者は真剣に聴き入り、質問も出されました。
 その後、日野町の西大路二区の民生委員・児童委員・福祉会運営委員長の増田 亘氏から「防災と福祉の取り組みについて」講演をいただき、地域のつながりを大切にした災害時要援護者の見守り活動などの活発な防災活動の取り組み事例の紹介に、参加者は大きな関心を持って聴き入っていました。
 1日目の最後は、滋賀県県民活動課職員の進行により、3班に分かれて「防災ゲーム・クロスロード」を行いました。災害現場で実際に直面するジレンマをカードゲーム形式で体験し、参加者同士の会話も弾んで、大いに盛り上がりました。
 2日目は、滋賀県消防学校教官を講師に「災害救助・応急手当」の実技研修を行いました。災害時の負傷者に対する止血法の講習や消火器を使った消火訓練、災害救助用のジャッキを使った救助訓練が実施され、参加者は真剣な表情で汗をかきながら取り組んでいました。
 その後、滋賀県県民活動課 青山 達課長を講師に、3班に分かれて「災害図上訓練DIG」を実施しました。名神八日市インター周辺の住宅地図を使って、地域の道路や河川の状況、倒壊のおそれのある住宅や崩落のおそれのある橋などの危険箇所、消火栓、病院などの災害時に頼りになる施設や設備などを地図上に色分けして書き込みながら、地域の災害に対する「強み」と「弱み」を知る手法を体験しました。
 研修の最後のプログラムとして、3班に分かれて「自主防災活動の課題と活性化について」グループ討議を行いました。参加者が今回の研修を踏まえながら、地域で「共助」による自主防災活動に取り組む上での課題と自主防災活動を一層活性化するためにはどのようにすればいいのか、話し合いを行った後、それぞれの班から発表していただきました。
 最後に、今回の研修会の修了証と記念品が参加者に手渡され、2日間の研修日程を終了しました。
 今回の研修に参加された皆さんには、研修会で学んでいただいたことを今後のそれぞれの地域の自主防災活動に生かしていただき、地域防災力の向上に取り組んでいただくことを期待しています。

《平成19年度滋賀県自主防災組織リーダー研修会日程》
□ 日 時:平成19年10月11日(木)、12日(金)
□ 会 場:滋賀県消防学校
[第1日]

 

時 間

項 目

内 容 ・ 講 師 等

場 所

 

 9:30~10:00

参加者受付

 

視聴覚教室

10:00~10:15

開講式

主催者あいさつ 
・財団法人日本防火協会 益本常務理事
・滋賀県県民活動課   青山課長

視聴覚教室

10:15~10:30

オリエンテーション

日程説明    (滋賀県県民活動課 宇野副参事)
消防学校施設説明(滋賀県消防学校  川村教頭)

視聴覚教室

 

10:30~10:40

休 憩

 

 

10:40~12:00

講 義

滋賀県の防災対策について
・地 震    (滋賀県防災危機管理局 堀江主任主事)
・水害、流域治水(滋賀県流域治水政策室 中田副参事)

視聴覚教室

 

12:00~13:00

昼 食

 

食 堂

13:00~15:00

講 演①

真の防災まちづくりとは「いいまち」をつくること 
-「しのぎの防災システム」の提唱
(大阪人間科学大学教授 片寄 俊秀 氏)

視聴覚教室

 

15:00~15:15

休 憩

 

 

15:15~16:15

講 演②

阪神・淡路大震災の体験について
(人と防災未来センター 語り部 稲谷 利輝氏)

視聴覚教室

 

16:15~16:30

休 憩

 

 

16:30~17:30

講 演③

防災と福祉の取り組みについて
(日野町西大路二区自治会民生委員児童委員・福祉会運営委員長 増田 亘氏)

視聴覚教室

 

18:00~19:00

夕 食

 

食 堂

19:00~20:30

グループ討議

防災ゲーム・クロスロード 

大教室

 

20:30~21:30

入 浴

 

浴 室

 

22:00

消灯・就寝

 

寮 室


[第2日]

 

時 間

項 目

内 容 ・ 講 師 等

場 所

 

 7:00~ 7:30

起 床

 

 

 

 7:30~ 8:15

朝 食

 

食 堂

 9:00~10:20

実技研修

災害救助・応急手当て(滋賀県消防学校 平野教官・上原教官)

集会室

 

10:20~10:30

休 憩

 

 

10:30~12:00

演 習

災害図上訓練DIG演習  (滋賀県県民活動課 青山課長)

大教室

 

12:00~13:00

昼 食

 

食 堂

13:00~14:00

演 習

同 上

大教室

 

14:00~14:10

休 憩

 

 

14:10~15:10

グループ討議・発表

各地域の自主防災活動の課題と活性化

大教室

 

15:10~15:20

休 憩

 

 

15:20~15:30

閉講式

修了証授与等

大教室


講 義(滋賀県の防災対策)

講 演(1)(片寄教授)

講 演(2)(稲谷氏)

講 演(3)(増田氏)

災害救助訓練

災害図上訓練DIG

グループ討議・発表

閉講式

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 山形県では、10月22日(月)、23日(火)の2日間、米沢市の「山形県置賜総合支庁」において「平成19年度山形県自主防災リーダー研修会」を開催いたしましました。
 この研修会は、自主防災組織の指導的立場にある者等を対象に、高度な知識、技能を習得させるとともに、その役割についての自覚を高め、地域における自主防災組織活性化のために活躍できる人材を育成することを目的に、財団法人日本防火協会と山形県の共催で開催したもので、県内各地から53名が参加しました。
 22日(1日目)の午前中は「開講式」及び座学(「山形県の防災対策について」、「自主防災組織について」)、午後は「図上訓練:DIG」が行われました。
 はじめに、「開講式」では、財団法人日本防火協会の益本圭太郎常務理事と山形県置賜総合支庁の中山芳昭総務課長からあいさつをいただきました。
 「山形県の防災対策について」では、県危機管理室総合防災課の日塔防災主査が県内で発生した主な災害、大規模地震に対する県の対策、命を守るポイント、安全な雪下ろしのために必要なことなどを紹介しました。
 「自主防災組織について」では、北海道教育大学の佐々木准教授が自助・共助の必要性を説明するとともに、自主防災組織が行うべき活動の事例を紹介しました。
 「図上訓練:DIG」は、北海道教育大学の佐々木准教授に前半は座学、後半は演習を行っていただきました。
 最初の座学では、災害時要援護者の支援、図上訓練:DIGの方法、住宅の耐震化、家庭内の耐震対策などについて、映像や実例をもとにわかりやすく解説していただきました。
 後半の演習では10班に別れて、まず受講者の皆さんに震度6の地震が発生したことを想定してもらい、①直後に何をするか②3時間以内に何をするか③避難する時に自宅でしておくこと④避難所に持っていく物⑤自主防災リーダーとしてとる行動を想像していただきました。次に、地図を利用し、避難所、病院、食料品店、災害時要援護者が住んでいる住宅、災害時に通行不能となる道路を確認し、地震が発生した状況を想定したうえで、避難所までの避難路を検討していただきました。各グループ内ではたくさんの意見が飛び交い、非常に活気のある演習となりました。
 23日(2日目)の午前中は「人的支援活動から見た新潟県中越沖地震被害」、「気象情報の利活用」、「防災用品の説明」の座学、午後は「救命講習」の演習及び「閉講式」が行われました。
 「人的支援活動から見た新潟県中越沖地震被害」では、現地で被災建築物応急危険度判定業務に従事した県置賜総合支庁建築課の成瀬審査指導主査が新潟県柏崎市内の住宅倒壊の状況を紹介し、住宅の耐震性向上が何よりも重要であることを報告しました。
 また、被災者に対する健康相談活動に従事した県置賜保健所地域保健予防課の原田精神保健福祉主査は日々刻々と変化する避難所の様子を紹介し、避難所生活でのルールや日頃からの地域のつながりが重要であることを報告しました。被災地の生々しい様子を知った受講者からはたくさんの質問があり、関心の高さをうかがわせました。
 「気象情報の利活用」では、山形地方気象台の藤原水害対策気象官から気象予警報の発表内容、今年10月1日から始まった緊急地震速報の利用心得などを説明していただきました。
 「防災用品の説明」では、県危機管理室総合防災課の岩月主査が県の備蓄状況、各家庭での備蓄の必要性、家具転倒防止器具などを説明するとともに、県が作成した住宅耐震模型を使って、耐震性のある住宅と耐震性のない住宅との構造の違いを解説しました。
 また、昼食時には、アルファ米、保存用飲用水、保存用缶詰を試食しました。アルファ米に水を入れて1時間待ってできあがった昼食でしたが、味のほうはおおむね好評でした。
 「救命講習」は、米沢市消防本部、米沢市消防署から13名の指導員においでいただき、6つのグループに分かれ、心肺蘇生法、AEDの使用法についての講習が行われました。参加者には、AEDを初めて目にする方もおり、慣れないながらも熱心に取り組んでいただきました。また、当日飛び入りで、県置賜保健所保健企画課の安部主任薬剤師がAED設置に係る県の補助制度を説明しました。
 最後に、「閉講式」では、財団法人日本防火協会の水村昇課長補佐から修了証の授与及び記念品の贈呈、閉講のあいさつをいただき、2日間にわたる研修会は終了いたしました。
 この研修会を契機として、自主防災組織の新規設立あるいは既存組織の活動の活性化が図られ、本県の地域防災力の向上が図られることを期待しております。
 また、参加者のアンケート結果をみてみますと、受講者の92%が大変有意義であったと回答しており、これからも継続して研修会を開催し、より多くの県民に自主防災に対する関心を持っていただきたいと考えております。


開講式

図上訓練:DIG

救命講習

閉講式

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