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2004年2月

2.平成15年(1月~9月)における火災の概要(抜粋)

目次 次頁次頁
平成16年1⽉22⽇
総務省消防庁
平成15年(1⽉〜9⽉)における⽕災の概要(概数)


1 総出⽕件数は対前年⽐6,115件の減少

平成15年(1⽉〜9⽉)における総出⽕件数は42,835件であり、前年同期と⽐べると、6,115件の減少(-12.5%)となっております。

これは、おおよそ1⽇あたり157件、9.2分に1件の⽕災が発⽣したことになります。

⽕災種別ごと前年同期⽐較をみると、建物⽕災24,224件(963件の減・-3.8%)、林野⽕災1,589件(1,398件の減・-46.8%)、⾞両⽕災5,605件(274件の減・-4.7%)、船舶⽕災100件(17件の増・+20.5%)、航空⽕災3件(前年同数)、その他⽕災11,314件(3,497件の減・-23.6%)となっています。平成10年から増加している林野⽕災、その他⽕災は前年同期と⽐べますと、⼤幅に減少しています。


2 ⽕災による死者は78⼈の増加、負傷者は211⼈の減少

⽕災による死者は1,700⼈で、前年同期と⽐べると78⼈の増加(+4.8%)となっています。

⽕災種別ごと前年同期⽐較をみると、建物⽕災1,112⼈(108⼈の増・+10.8%)、林野⽕災17⼈(2⼈の増・13.3%)、⾞両⽕災242⼈(8⼈の減・-3.2%)船舶⽕災3⼈(3⼈の増)、航空機⽕災1⼈(4⼈の減)、その他⽕災325⼈(23⼈の減・-6.6%)の死者が発⽣しています。

⽕災による負傷者は6,319⼈であり、前年同期と⽐べると211⼈の減少(-3.2%)となっています。

⽕災種別ごとにみると、建物⽕災5,420⼈、林野⽕災75⼈、⾞両⽕災287⼈、船舶⽕災26⼈、航空機⽕災0⼈、その他⽕災511⼈の負傷者が発⽣しています。

また、放⽕⾃殺者は、前年同期より25⼈少ない636⼈となっています。

3 建物⽕災の死者のうち、住宅⽕災での死者は87.2%

建物⽕災における死者1,112⼈のうち、住宅(⼀般住宅、共同住宅及び併⽤住宅)⽕災における死者は、970⼈(87.2%)で前年同期と⽐べ74⼈の増(+8.3%)となっています。

4 住宅⽕災による死者の49.7%が⾼齢者

住宅⽕災による死者970⼈のうち、482⼈(49.7%)が⾼齢者となっています。

住宅⽕災における死者の発⽣した経過別死者数の前年同期⽐は、逃げ遅れ547⼈(48⼈の増・+9.6%)、出⽕後再進⼊20⼈(5⼈の増・+33.3%)、着⾐着⽕35⼈(7⼈の減・16.7%)、放⽕⾃殺187⼈(6⼈の増・+3.3%)、放⽕⾃殺巻き添え等7⼈(7⼈の減・-50.0%)、その他174⼈(29⼈の増・+20.0%)となっています。

また、住宅防⽕における放⽕⾃殺者及び放⽕⾃殺者の巻き添えを除いた死者は776⼈(75⼈の増・+10.7%)です。

5 出⽕原因の第1位は「放⽕」、続いて「こんろ」

全⽕災42,835件を出⽕原因別にみると、「放⽕」6,109件「(14.3%)、「こんろ」4,328件(10.1%)、「放⽕の疑い」4,302件(10.0%)、「たばこ」3,978件(9.3%)、「たき⽕」2,336件(5.5%)の順となっています。また「放⽕」及び「放⽕の疑い」を合わせると、10,411件(24.3%)となっています。

なお、前年同期は、「放⽕」5,868件(12.0%)、「たばこ」5,270件(10.8%)、「放⽕の疑い」4,686件(9.6%)、「こんろ」4,378件(9.0%)、「たき⽕」3,939件(8.1%)の順となっています。

「放⽕」及び「放⽕の疑い」を合わせた件数(10,411件)を都道府県別にみますと、東京都(1,719件)、⼤阪府(1,135件)、愛知県(874件)、神奈川県(660件)、埼⽟県(620件)の順となっており、上位5都府県で全体の48.1%を占めています。

⽕災種別ごとにみると建物⽕災24,224件にあっては、「こんろ」4,276件(17.7%)、「放⽕」2,889件(11.9%)、「たばこ」2,337件(9.6%)、「放⽕の疑い」1,895件(7.8%)、「ストーブ」1,332件(5.5%)の順となっています。

林野⽕災1,589件では、「たき⽕」405件(25.5%)、「たばこ」211件(13.3%)、「⽕⼊れ」208件(13.1%)、「放⽕の疑い」148件(9.3%)、「⽕あそび」92件(5.8%)の順となっています。

⾞両⽕災5,605件では、「放⽕」891件(15.9%)、「放⽕の疑い」606件(10.8%)、「排気管」554件(9.9%)、「内燃機関」238件(4.2%)、「衝突の⽕花」222件(4.0%)の順となっています。

その他⽕災11,314件では、「放⽕」2,254件(19.9%)、「放⽕の疑い」1,649件(14.6%)、「たき⽕」1,476件(13.0%)、「たばこ」1,246件(11.0%)、「⽕あそび」747件(6.6%)の順となっています。

6 消防庁の対策について
(1)住宅防⽕対策への取り組み

住宅⽕災件数は、前年同期と⽐べると減少(14,430→14,182件)していますが、住宅⽕災における放⽕⾃殺者等を除く死者数(766⼈・+10.7%)及び65歳以上の⾼齢者の死者数(539⼈・+18.5%)は増加しており、今後の⾼齢社会の進展を考慮すると、住宅防⽕対策への⼀層の取り組みが必要となっています。

このような状況を踏まえ、「地域の安全・安⼼に関する懇話会」(会⻑︓樋⼝公啓 東京海上⽕災保険株式会社相談役)において、新たな住宅防⽕対策のあり⽅について検討を⾏った結果、保険制度等の市場機能の活⽤、住宅⽤⽕災警報器等に係る法制度化の導⼊などの緊急提⾔がまとめられました。

さらに、消防審議会から、同様の内容の答申を得ました。

消防庁では、本答申等を踏まえ、これらの施策について積極的に取り組むこととしています。

(2)放⽕対策への取り組み

放⽕及び放⽕の疑いによる⽕災は、全⽕災の24.3%を占めており、前年同期の21.6%と⽐べ増加しています。特に⼤都市においては、全⽕災の4割を超える都市もあるなど、深刻な社会問題となっています。

このため、消防庁では、平成12年に「放⽕⽕災予防対策マニュアル」を作成し、全国の消防機関に配布していますが、放⽕⽕災を防ぐためには、⼀⼈ひとりが放⽕対策を⼼がけるだけでなく、地域全体として放⽕されない環境を作ることが重要です。

特に連続放⽕の発⽣地域においては、可燃物を放置しない、夜間にごみを出さない、門灯を終夜点灯するなどの基本的な対策及び関係⾏政機関と地域住⺠が協⼒して、街灯の増設、炎センサー、対⼈センサーと連動した照明や監視カメラの設置などの対策を推進するなど、地域全体による、より⼀層の警戒態勢を構築することが必要です。

消防庁では、平成14年から、特に連続放⽕にねらいを絞り、消防本部、関係⾏政機関等からなる検討会を開催し、連続放⽕の発⽣している地域との連携を強化し、連続放⽕に対する具体的な対策とその進め⽅などについて、検討を進めています。

(3)林野⽕災への取り組み

林野⽕災の件数は、前年同期と⽐較すると1,398件の減少(-46.8%)となっています。また、今期の延べ焼損⾯積は約978haとなっており、前年同期の2505haから⼤幅に減少しています。

消防庁では、林野⽕災の発⽣件数が増加する春先に、例年、警戒強化を促す通知を発し、注意喚起と被害拡⼤防⽌に努めています。また、昨年10⽉29⽇には平成15年3⽉にまとめられた「林野⽕災対策に係る調査研究報告書」に基づき、関係諸機関と調整のうえ、より実態に即した⽕災気象通報の運⽤、⽕災覚知後の迅速なヘリコプターの派遣要請、⽕災状況に即した適切な空中消⽕⽅法の選定などを内容とする「林野⽕災の予防及び消⽕活動について」の通知を発しました。

今後は、⽕災気象通報の効果的な運⽤を具体的に進めるため、モデル地域を選定して検証していくこととしています。

さらに、毎年、林野庁と共同で林野⽕災が多発、増加する春季全国⽕災予防運動期間中の、3⽉1⽇から7⽇までを全国⼭⽕事予防運動の統⼀実施期間とし、統⼀標語を定めるなど様々な広報活動を通じて⼭⽕事防⽌を呼びかけています。

今後とも、市町村が⾏う林野⽕災対策⽤資機材等整備の⽀援などを含め、林野⽕災予防対策の積極的な推進を図ります。




[資料編]
1.全国の概況
(1)出⽕件数

種別件数構成⽐(%)前年⽐較増減数(%)
建物⽕災24,22456.6%-963-3.8%
林野⽕災1,5893.7%-1,398-46.8%
⾞両⽕災5,60513.1%-274-4.7%
船舶⽕災1000.2%1720.5%
航空機⽕災30.0%00.0%
その他⽕災11,31426.4%-3,497-23.6%
総出⽕件数42,835100.0%-6,115-12.5%

(2)死傷者数

⼈数前年⽐較1⽇あたり発⽣割合
死者数1,700784.8%6.2⼈⽕災25.2件に1⼈
負傷者数6,319-211-3.2%23.1⼈⽕災6.8件に1⼈

2.出⽕原因ごとの⽕災発⽣状況
(1)全⽕災

原因別件数構成⽐
放⽕6,10914.3%
こんろ4,32810.1%
放⽕の疑い4,30210.0%
たばこ3,9789.3%
たき⽕2,3365.5%
⽕あそび1,5033.5%
ストーブ1,3473.1%
電灯・電話等の配線1,0942.6%
⽕⼊れ9542.2%
配線器具7981.9%
マッチ・ライター7111.7%
電気機器6231.5%
排気管6141.4%
溶接機・切断機4601.1%
灯⽕4161.0%
電気装置4141.0%
焼却炉4020.9%
風呂かまど3460.8%
内燃機関2700.6%
その他6,53515.3%
不明・調査中5,29512.4%
42,835100.0%

(2)建物⽕災

原因別件数構成⽐
こんろ4,27617.7%
放⽕2,88911.9%
たばこ2,3379.6%
放⽕の疑い1,8957.8%
ストーブ1,3325.5%
電灯・電話等の配線7903.3%
配線器具6372.6%
⽕あそび6362.6%
電気機器4782.0%
たき⽕4161.7%
灯⽕3921.6%
マッチ・ライター3421.4%
風呂かまど3351.4%
溶接機・切断機2671.1%
電気装置2521.0%
煙突・煙道1980.8%
焼却炉1640.7%
取灰1340.6%
⽕⼊れ890.4%
800.3%
ボイラー780.3%
こたつ730.3%
かまど520.2%
その他2,96512.2%
不明・調査中3,11712.9%
24,224100.0%

3.死者数の発⽣状況
(1)⽕災種別ごとの死者発⽣状況

種別⼈数構成⽐
建物⽕災1,11265.4%
林野⽕災171.0%
⾞両⽕災24214.2%
船舶⽕災30.2%
航空機⽕災10.1%
その他⽕災32519.1%
1,700100.0%

(2)建物⽤途ごとの死者発⽣状況

種別⼈数構成⽐
住宅73065.6%
共同住宅18716.8%
併⽤住宅534.8%
複合⽤途(特定)363.2%
複合⽤途(非特定)242.2%
飲⾷店40.4%
旅館10.1%
物品販売店舗10.1%
料理店10.1%
その他の⽤途の建物⽕災756.7%
1,112100.0%

(3)⽕災種別ごとの負傷者発⽣状況

種別⼈数構成⽐
建物⽕災5,42085.8%
林野⽕災751.2%
⾞両⽕災2874.5%
船舶⽕災260.4%
航空機⽕災00.0%
その他⽕災5118.1%
6,319100.0%

(4)建物⽤途ごとの負傷者発⽣状況

種別⼈数構成⽐
住宅2,51746.4%
共同住宅1,08520.0%
複合⽤途(特定)3827.0%
併⽤住宅2785.1%
複合⽤途(非特定) 1923.5%
飲⾷店871.6%
旅館470.9%
物品販売店舗270.5%
病院190.4%
社会福祉施設170.3%
遊技場100.2%
公会堂50.1%
地下街50.1%
その他の⽤途の建物⽕災74913.8%
5,420100.0%

(5)死者の発⽣した経過ごとの死者発⽣状況

経過別⼈数構成⽐
逃げ遅れ65438.5%
出⽕後再進⼊251.5%
着⾐着⽕855.0%
放⽕⾃殺(⼼中含む)63637.4%
放⽕⾃殺巻き添え110.6%
その他28917.0%
1,700100.0%

4.年齢層ごとの死者発⽣状況
(1)全⽕災 (死者数︓1,700⼈)

年齢別⼈数構成⽐
6歳〜64歳以下98057.6%
65歳以上68340.2%
5歳以下251.5%
年齢不明120.7%
1,700100.0%

(2)建物⽕災 (死者数︓1,112⼈)

年齢別⼈数構成⽐
6歳〜64歳以下55049.5%
65歳以上53948.5%
5歳以下211.9%
年齢不明20.2%
1,112100.0%

5.⾼齢者(65歳以上)における死者発⽣状況
(1)建物⽕災 (死者数︓539⼈)

⽤途別⼈数構成⽐
住宅39372.9%
併⽤住宅6111.3%
共同住宅285.2%
複合⽤途(特定)173.2%
複合⽤途(非特定)112.0%
飲⾷店20.4%
料理店10.2%
旅館10.2%
その他の⽤途の建物⽕災254.6%
539100.0%

(2)死者の発⽣した経過ごとの死者発⽣状況
(死者数︓683⼈)

経過別⼈数構成⽐
逃げ遅れ36753.7%
出⽕後再進⼊142.0%
着⾐着⽕6910.1%
放⽕⾃殺(⼼中含む)12418.2%
放⽕⾃殺巻き添え20.3%
その他10715.7%
683100.0%

【⽕災の概要】

区分平成15年累計
(A)
前年累計
(B)
増減数
(A)-(B)=(C)
増減率
(C)/(B)*100
総出⽕件数(件)42,83548,950-6,115-12.5%
建物24,22425,187-963-3.8%
林野1,5892,987-1,398-46.8%
⾞両5,6055,879-274-4.7%
船舶100831720.5%
航空機3300.0%
その他11,31414,811-3,497-23.6%
焼損棟数(棟)32,66334,706-2,043-5.9%
り災世帯数(世帯) 21,93022,795-865-3.8%
建物焼損床⾯積(㎡)1,233,2471,230,2243,0230.2%
建物焼損表⾯積(㎡)130,432153,101-22,669-14.8%
林野焼損⾯積(a)97,798250,485-152,687-61.0%
損害額(千円)111,286,798110,009,8731,276,9251.2%
死者数合計(⼈)1,7001,622784.8%
(内放⽕⾃殺者)636661-25-3.8%
建物1,1121,0040810.8%
林野1715213.3%
⾞両242250-8-3.2%
船舶303
航空機15-4-80.0%
その他325348-23-6.6%
負傷者数合計(⼈)6,3196,530-211-3.2%
建物5,4205,423-3-0.1%
林野75143-68-47.6%
⾞両287334-47-14.1%
船舶26719271.4%
航空機000
その他511623-112-18.0%

【都道府県ごとの出⽕率】

都道府県出⽕件数死者数⼈⼝出⽕率死者発⽣率都道府県出⽕件数死者数⼈⼝出⽕率死者発⽣率
北海道1,763935,662,8563.11.64滋賀県361191,348,2412.71.41
⻘森県538271,487,4513.61.82京都府530352,563,7732.11.37
岩⼿県481161,411,1763.41.13⼤阪府3,002948,643,6773.51.09
宮城県948272,350,1324.01.15兵庫県1,987715,561,2223.61.28
秋⽥県377231,182,0253.21.95奈良県358201,441,9712.51.39
⼭形県378251,232,5783.12.03和歌⼭県361131,079,0553.31.20
福島県1,004592,122,6134.72.78⿃取県21216615,8123.42.60
茨城県1,268562,993,7464.21.87島根県29715756,7703.91.98
栃⽊県841352,005,4674.21.75岡⼭県729201,957,3133.71.02
群⾺県711262,022,6663.51.29広島県970352,870,5423.41.22
埼⽟県2,122866,954,2763.11.24⼭⼝県491231,517,9543.21.22
千葉県1,978695,978,2873.31.15徳島県2349827,0862.81.09
東京都4,62311211,996,4603.90.93⾹川県327151,031,1853.21.45
神奈川県 2,252748,546,8572.60.87愛媛県465291,502,4963.11.93
新潟県671502,463,7402.72.03⾼知県27617813,2373.42.09
富⼭県216161,120,8431.91.43福岡県1,638565,001,5923.31.12
⽯川県281121,176,1002.41.02佐賀県29213878,7973.31.48
福井県2039826,4002.51.09⻑崎県427171,516,9202.81.12
⼭梨県44115884,1705.01.70熊本県559261,866,5533.01.39
⻑野県736292,202,7333.31.32⼤分県413201,229,6593.41.63
岐⾩県729282,109,1853.51.33宮崎県415171,179,9833.51.44
静岡県1,277433,769,7763.41.14⿅児島県754381,775,6364.22.14
愛知県2,7871066,998,0274.01.51沖縄県321181,353,2122.41.33
三重県791281,858,1144.31.51都道府県 計42,8351,700126,688,3643.41.34

*出⽕率︓⼈⼝1万⼈あたりの出⽕件数。
死者発⽣率︓⼈⼝10万⼈あたりの死者数。
⼈ ⼝︓平成15年3⽉31⽇現在の住⺠基本台帳による。

【「出⽕原因」「建物⽕災の死者内訳」グラフ】

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