HOME  > 防火ネットニュース2月号  > 1.全国消防防災主管課長会議について

2004年2月

1.全国消防防災主管課長会議について

目次 次頁
⾃主防災組織の充実・強化について

消防庁では、これまで⾃主防災組織の育成強化に努めてきているが、東海地震や東南海・南海地震等の⼤規模広域災害の発⽣が懸念されるなか、地域住⺠による⾃主防災活動については、未だ⼗分とは⾔えず、各地⽅公共団体において、研修事業や資機材整備に対する⽀援、⾃主防災組織の連絡協議会設置の促進等による組織率の向上、既存組織の活性化等にかかる取組みを強化していく必要がある。

1.⾃主防災組織の現状 (平成15年4⽉1⽇現在)

  • 組織数 109,016組織
  • ⾃主防災組織を有する市町村数 2,536市町村
  • 組織率(⾃主防災組織に参加する世帯の割合) 61.3%

2.消防庁による⽀援の取り組み
(1) 消防防災設備整備費補助⾦

  • ⾃主防災組織の資機材整備に対する補助⾦として、「⾃主防災組織活性化事業」を引き続き実施する。

・補助基準額 H167,698千円
対象資機材︓初期消⽕・救助・救護・避難誘導⽤資機材、簡易収納庫
・予算額H16150,000千円

(2) ⾃主防災活動に関するモデル事業の実施 《新規》

  • 16年度には、以下の2種類のモデル事業を予定

① 「⾃主防災活動推進モデル事業」
⾃主防災活動の機運の低い地区において組織化を進められるよう、福祉・教育・⽂化・過疎地・都会といった切り⼝を通じて組織結成と活動定着を目指す。

② 「学校教育との連携による⾃主防災活動啓発モデル事業」
年少時教育からの防災意識の啓発を通じて、将来的な⾃主防災活動の活性化を目指す。

(3) 市町村、県単位の連絡協議会の設置

  • ⾃主防災組織相互の交流と活動内容の情報交換を⾏い、相互に啓発が可能な場として、市町村単位の連絡協議会はもとより、都道府県単位での⾃主防災組織の連絡協議会の設置を推進する。今年度まとめられた『地域の安全・安⼼に関する懇話会』の報告を踏まえ、各都道府県あてに通知を発する予定。

(4) 教育訓練機会の提供


  • 消防組織法の改正に伴い、消防に資する活動促進のため、住⺠の⾃主的な防災組織を構成する者に対し、教育訓練を受ける機会を提供する。

災害ボランティア⽀援について
1 背景

災害時のボランティア活動は、被災地における多様なニーズに対した柔軟できめ細かな防災対策を講じる上で重要な役割を担っており、阪神・淡路⼤震災以降、さまざまな災害現場で活動が⾏われている。

このような状況を踏まえ、消防庁では、平成12年度以降、毎年災害ボランティアの活動環境整備に取り組んできている。


  • 平成12年度
    災害ボランティア・データバンクの構築
  • 平成13年度及び平成14年度
    「災害ボランティアの活動環境に関する検討懇談会」の実施
  • 平成15年度
    災害時のボランティア・コーディーネーター⽀援システムの標準仕様検討、作成

2 平成16年度計画事業 《新規》

災害ボランティア活動を活性化するにあたり、消防庁に期待される役割として、

  • ① 教育の提供︓標準的な防災に関する教育プログラム体系の開発、提供、普及
  • ② 情報の提供︓各種情報媒体による多様な情報の収集、発信
  • ③ 場の提供︓市⺠、企業、ボランティアらが集い、意⾒交換できる場の設置が、「災害ボランティアの活動環境に関する検討懇談会」において報告された。

そこで、平成16年度については、以下に⽰すように災害ボランティアに関する情報を収集、提供する。
(1) 「災害活動事例データベース」

  • 目的
    ⼤規模災害時において、地域における防災活動を期待される災害ボランティア関係者に過去の活動の活動事例を紹介することにより、災害時における活動の円滑化と活性化を図る。
  • 概要
    災害現場におけるボランティアの活動、ボランティアセンターの運営等の情報を都道府県を通じて収集のうえ(情報収集は、平成16年度以降も実施)、その結果をとりまとめ、消防庁ホームページに掲載し紹介する。

(2) 「プラットホームデータベース」

  • 目的
    平常時から市⺠、企業、ボランティア活動家や⾏政職員等が集い、防災に関して意⾒交換ができる場としての「地域防災プラットホーム(仮称)」が既に運営されている事例について、設置や運営のノウハウを紹介することにより、その設置の促進を図る。
  • 概要
    各都道府県を通じて事例を収集し、その結果をとりまとめ、消防庁ホームページに掲載し紹介する。

放⽕⽕災の予防対策について
1放⽕⽕災の実態

「放⽕」及び「放⽕の疑い」による⽕災は年々増加傾向にあり、平成4年以降連続して1万件を超えている。

この傾向は、⼤都市部を中⼼として近年特に著しく、平成9年には、平成5年以来4年ぶりに「放⽕(放⽕の疑いを除く。)」が⽕災の原因の第1位となるとともに、平成14年まで6年連続して第1位となっており、放⽕の疑いをふくめた⽕災件数は、全⽕災の2割強を占めている。

2消防庁の対応

消防庁においては、平成元年以降、春・秋の全国⽕災予防運動の重点目標の⼀つとして「地域における防⽕安全体制の充実」を掲げ、地域ぐるみで放⽕⽕災を防⽌するよう指導を⾏ってきている。

平成3年9⽉には⽕災予防条例(例)を改正し、空き家の管理の徹底等、⽕災予防上必要な措置をするように⽰しているところである。

また、平成4年11⽉には、⾃動⾞・オートバイ等のボディカバーを防災製品の品目として追加するとともに、平成5年から⾞両⽕災予防運動における重点実施要項として⾃動⾞等のボディーカバーにおける防災製品の使⽤を掲げている。

さらに、平成12年には「放⽕⽕災予防対策の推進」を全国⽕災予防運動の重点目標に掲げるとともに、平成9〜10年度にかけて開催された「防⽕対象物の放⽕⽕災予防対策に関する調査研究委員会」において検討を進め、防⽕対象物に対応した放⽕⽕災のソフト的対策をまとめた「放⽕⽕災予防対策マニュアル」を作成、配布するなど、ハード、ソフト両⾯から対応を図ってきている。

3今後の課題

放⽕⽕災は、⼤都市の中には⽕災原因の4割を占めているところもあるなど、特に⼤都市圏において多発している。

このことから、平成14〜16年度にかけて、⼤都市圏の消防本部を中⼼とした「放⽕対策検討会」を開催し、放⽕⽕災の発⽣のメカニズム、その対策等について広く意⾒を収集しているところである。

今後、放⽕⽕災の対応策を多数収集してその処⽅箋となる事例集を作成するとともに、連続放⽕⽕災に着目して、地域の消防本部(松⼾市、⼋尾市等)と連携しながら、放⽕監視機器(炎センサーとレンズ付フィルムの組合せ)の設置等を含めた対策について実践と検証を⾏い、その被害発⽣の軽減を図ることを検討している。




(参考)
犯罪に強い社会の実現のための⾏動計画(平成15年12年⽉犯罪対策閣僚会議)

⑬放⽕・連続放⽕から我が町を守るための対策推進

⽕災予防に関する地域への呼びかけ等の広報活動に加え、放⽕・連続放⽕が発⽣している地区の消防本部等と消防庁とがきょうどうして放⽕対策機器の開発・運⽤を⾏い、蓄積されたノウハウを基に全国的な運⽤を実施することにより、ハード・ソフトの両⾯からの放⽕・連続放⽕対策を推進する。

住宅防⽕対策について
【住宅⽕災の現状】

○⽕災件数(平成14年中(放⽕に係るものを除く))
住宅⽕災 17,274
建物⽕災 30,282
○死者数(平成14年中(放⽕に係るものを除く))
住宅⽕災 992⼈
建物⽕災 1,129⼈

  • 住宅⽕災による死者数の半数が65歳以上
  • 近年の主な建物⽤途別に⾒た⽕災100件当たりの死者数は、住宅⽕災が最多。
    (多数の者が利⽤する物販店舗、ホテル、病院等と⽐べ5倍程度)

    今後の⾼齢化の進展とともに、さらに住宅⽕災による死者が増加するおそれ。

【住宅⽤⽕災警報器等の効果と費⽤】

  • 住宅⽕災警報器等の普及率は1割程度。
  • 住宅⽕災100件当たりの死者数は、
    設置なし︓6.1⼈ → 設置あり︓1.8⼈
    (平成14年データ)。
  • 〔現状〕 〔法制度化とともに普及した場合の推定〕
    7,000円〜9,000円程度 → 相当程度廉価になる⾒込み。

【住宅⽤⽕災警報器等に対する国⺠意識】

消防・救急に関する世論調査(平成15年内閣府)によると、「住宅⽤⽕災警報器等の住宅⽕災対策器具の設置義務化の是非について」設問に対して、「賛成」「どちらかといえば賛成」の合計は66.9%となっている。

【⽶国等の状況】

⽶国では、1970年代後半から国家⽅針の下、州法等で、住宅⽤⽕災警報器等の義務付けが⾏われ、死者発⽣の低減が図られている。

英国においても、建造物規則により義務付けが⾏われ、同様の成果を上げている。

【新たな住宅防⽕対策の考え⽅】

住宅⽤⽕災警報器等の設置による死者発⽣の低減効果や国⺠意識の⾼さなどを踏まえ、今後の住宅防⽕対策のあり⽅として、市場機能を活⽤した普及の推進等を⾏いつつ、死者発⽣の低減を図るための住宅⽤⽕災警報器等の設置に関する法制度化を図ることが必要ではないか。

防⽕管理制度について

1 防⽕管理者の業務の外部委託(消防法施⾏令等改正事項)

規制改⾰3か年計画に基づき、平成14年7⽉から平成15年3⽉まで「防⽕管理者制度のあり⽅に関する検討会」を開催し、その検討結果を踏まえて防⽕管理者の選任が困難な防⽕対象物について、防⽕管理者の業務の外部委託を認める政令の改正作業を⾏っている。

消防法施⾏令改正案の概要
1 防⽕管理者の業務を外部委託することができる防⽕対象物

次の防⽕対象物で、防⽕管理上必要な業務を適切に遂⾏することができないと、消防⻑⼜は消防署⻑が認めるもの

  • (1)共同住宅
  • (2)その他、防⽕対象物の管理⼜は監督的な地位にある者のいずれもが防⽕管理上必要な業務を適切に遂⾏することができない当該防⽕対象物

2 外部委託できる防⽕管理者の資格
次に掲げる全ての要件を満たすこととする。

  • (1)防⽕管理講習の課程を修了していること等
  • (2)防⽕管理上必要な業務を適切に遂⾏するために必要な権限が付与されていること
  • (3)その他、必要な要件を満たしていること

2 建造中の船舶及び⼯事中の建築物の防⽕管理(消防法施⾏令等改正事項)

平成14年10⽉の⻑崎市のダイアモンド・プリンセス船舶⽕災を踏まえ、平成15年5⽉から8⽉まで「建造中の船舶及び⼯事中の建築物等の防⽕管理に係る検討会」を開催し、その検討結果を踏まえて⼀定規模以上の建造中の船舶及び⼯事中の建築物における防⽕管理の義務化について、政令の改正作業を⾏っている。

消防法施⾏令等改正案の概要

防⽕管理の義務づけが必要な⼯事中の建築物及び建造中の船舶は、次のとおりとする。

1 ⼯事中の建築物
(1)対象

次のいずれかに該当する建築物で、収容⼈員が50⼈以上のもの

  • ①地階を除く階数が11以上で、かつ、延べ⾯積が10,000㎡以上である建築物
  • ②延べ⾯積が50,000㎡以上である建築物
  • ③地階の床⾯積の合計が5,000㎡以上である建築物

(2)時期

上記対象となる規模まで外壁及び床⼜は屋根が完成した段階から⼯事が完了するまでの間において当該建築物の内部の⼯事が⾏われている間


2 建造中の船舶
(1)対象

建造中の旅客船で、収容⼈員が50⼈以上で、かつ、甲板数が11以上のもの
(2)時期

進⽔後、ぎ装が⾏われている間

3 防⽕管理講習
(1)甲種防⽕管理再講習

平成13年9⽉に発⽣した新宿歌舞伎町ビル⽕災を受け、平成15年6⽉の省令改正により、甲種防⽕管理再講習制度を設けた。

甲種防⽕管理再講習の概要
1 甲種防⽕管理再講習の必要な防⽕管理者

消防法施⾏令別表第⼀(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項、(9)項イ、(16)項イ及び(16の2)項に掲げる防⽕対象物であって、収容⼈員が300⼈以上のもの

2 講習内容

  • (1)防⽕管理上留意すべきこと
  • (2)おおむね5年間における防⽕管理に関する法令の改正の概要に関すること
  • (3)⽕災事例等の研究に関すること

3 施⾏⽇
平成18年4⽉1⽇

なお、平成17年4⽉1⽇から、甲種防⽕管理者再講習を⾏い、修了証を交付することができる。

(2)防⽕管理講習の指定講習機関

防⽕管理講習は、主に消防本部及び都道府県で実施しているところであるが、平成13年9⽉に発⽣した新宿歌舞伎町ビル⽕災を契機に、更に防⽕管理者講習を受ける機会の確保に努める必要があることから、(財)⽇本防⽕協会を防⽕管理講習の指定講習機関とし(平成15年1⽉8⽇総務省告⽰第6号)、平成15年10⽉から都道府県単位⼜はある程度まとまった地域単位で防⽕管理講習を実施しているところである。

(財)⽇本防⽕協会の防⽕管理講習会開催⽅法

  • 1 各都道府県消防設備保守協会等と業務委託契約を締結し、都道府県単位⼜はある程度まとまった地域単位で開催
  • 2 (財)⽇本防⽕協会が管轄内で講習会を開催することを希望する消防本部等と連携し開催
このページの上に戻る
目次