HOME  > 防火ネットニュース8月号  > 3.住民自らによる災害への備え

2019年8月

3.住民自らによる災害への備え

目次 次頁
総務省消防庁 地域防災室

 日本列島は、その位置、地形、気象等の条件から、地震、台風や梅雨前線による集中豪雨、大雪等による自然災害が発生しやすい環境にあり、 昨年は、大阪府北部を震源とする地震や平成30年7月豪雨、平成30年北海道胆振東部地震など多くの被害が発生しました。
 近年、気候変動の影響等による既存の想定を上回る災害の発生や、いつ起きてもおかしくないとされる南海トラフ地震、首都直下地震等の大規模地震の切迫性に加えて、 火山災害や雪害といった、過去の災害教訓を踏まえると、行政による対応のみでは被災者の救助や消火活動等に限界があるため、住民自身・相互の活動体制をいかに整えるかが課題となっています。
 そこで、「自分たちの地域は自分たちで守る」という自覚、連帯感に基づき、自主的に結成された組織が自主防災組織です。平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災を契機にその重要性が見直され、 全国各地で積極的な組織の結成・育成に取り組まれています(平成30年4月1日現在、16万5,429団体)。自主防災組織は、平常時には防災訓練の実施、防災知識の普及啓発、 災害危険箇所の点検、資器材の購入・点検等を行い、災害時においては初期消火、避難誘導、救出・救護、情報の収集・伝達、給食・給水、災害危険箇所の巡視などを行います。

連携による活動の活性化
 地域の安心安全を守るために活動している自主防災組織が、地域の垣根を越えて互いに連携し、 また、消防団、学校、企業など地域の様々な防災活動団体と連携し、お互いの得意分野を活かして補完し合うことで、地域の防災力をより高めることが出来るようになります(図)。


(図)様々な関係機関との連携により期待できること

 ここで、地域における組織連携の先進的な事例として、業種・団体の枠を超えた防災・減災ネットワークづくりを進める、横浜市のSeya防災ネットワークの取組を紹介します。
 Seya防災ネットワークは、行政や社会福祉協議会はもとより、横浜市瀬谷区内の様々な業種、組織、団体が連携した形でつくられ、協働して減災に取り組んでいます。発足時の31団体から、 現在は369団体により構成されており、講演会や研修会、さらには合同訓練やパンフレット作りなど、多様な活動を展開しています。

Seya防災ネットワークによる
平成30年秋季研修会の様子
(出展:第23回防災まちづくり大賞)
 とりわけ、災害時に支援が必要となる高齢者、障害者、妊婦、子ども、外国人などを見守る施設や支援者などが、中心となって活動されているところに特色があります。
 大規模高齢者福祉施設、小規模高齢者施設に加えて、乳幼児、障害者、妊産婦、外国人などを支援する市民団体が参加し、減災と福祉のネットワークが一体化しています。
 このように、普段から地域の関係団体と連携・協力関係を築き、地域における人的ネットワーク(つながり、結びつき)を広げ、地域コミュニティの強化を図ることが、いざという時に大きな力となります。
 自主防災組織については、消防庁が作成した「自主防災組織の手引」に詳しく記載しています。下記のURLからご覧いただけますので、ぜひ参考にしてください。
●「自主防災組織の手引」(平成29年3月改訂)
https://www.fdma.go.jp/mission/bousai/ikusei/items/bousai_2904.pdf

(総務省消防庁「消防の動き」 2019年7月号より)

このページの上に戻る
目次