婦⼈防⽕クラブによる平成16年新潟県中越地震に係る
炊き出し⽀援のご報告及び関係者の皆様への謝意等について

本年は、全国各地に様々な⾃然災害による⼤きな被害をもたらしました。
現在も多くの地域で災害対策本部が活動中であり、被災地の皆様に改めてお⾒舞いを申し上げますとともに応急・復旧対策に邁進しておられる関係者の⽅々に対しまして深く敬意を表したいと存じます。
さて、標記中越地震災害につきましては、先に平成16年10⽉26⽇付防⽕協第160号により当協会よりの⽀援⾦・義援⾦⼝座開設のご連絡を申し上げました際、当⾯、現地への直接のご⽀援は⾒合わせたい旨お知らせしたところであります。
しかしながら、その翌⽇、10⽉27⽇(⽔)に当協会あて電話にて⼩千⾕地域消防本部を通じ同市婦⼈防⽕クラブより「炊出し要員が不⾜しており、広域応援が可能ならば⽀援をお願いしたい。」との要請がありました。

以下、その対応状況等についてご報告申し上げ、今後におきます⼤規模災害時における広域応援実施に当たっての参考に供させていただき、ご協⼒いただいた⽅々への謝意に代えさせていただきたいと存じます。
(要請後の即時対応等)
当協会におきましては、直ちに⼩千⾕市に現地調査を⾏うべく担当者を派遣し、同時に総務省消防庁(防災課)、近県婦防連会⻑、近県消防主管課及び新潟県災害対策本部等と連絡調整し、翌28⽇(⽊)に炊出し⽀援部隊の派遣を進めることといたしました。
なお、このような災害⽀援は⼀義的には県内対応が基本ですが、新潟県は県レベルの婦⼈防⽕クラブ連絡協議会が未設置という条件下、同県にて婦防の窓⼝業務を⾏っていただいている危機管理防災課様にも県内の動きをうかがう状況にないと判断させていただき、新潟市消防本部等に婦防の⽀援状況や県内⽀援が可能か等直接問い合わせさせていただきました。

因みに、新潟市は11⽉1⽇に1万個のおにぎりを製作し、被災地に搬送することとしており、婦⼈部にその対応をお願いしている等市内での応援が基本とのことでしたが、婦防クラブの所在する被災地外の市町村それぞれ様々な⽀援を⾏っておりました。
去る7⽉の福井県豪⾬災害に対する現地⽀援に引き続き、同⼀ブロック内の年内⼆度に及ぶ⽀援となりましたが、迅速に対応いただいた富⼭県、⽯川県、群⾺県、埼⽟県、千葉県及び同県消防協会、静岡県、愛知県及び同県消防協会関係者の皆様、並びに各県婦⼈防⽕クラブ連絡協議会会⻑様に厚く御礼を申し上げます。
(⽀援に参加された⽅々)

⽀援にご参加いただきました皆様は、富⼭県松岡会⻑以下県下の婦防10名の⽅々、⽯川県消防防災課職員以下⾦沢市及び消防職員を含む加賀市の計10名の⽅々を主⼒に、静岡県鈴⽊会⻑(ほか1名)、群⾺県藤井会⻑、埼⽟県新井会⻑(ほか1名)、千葉県⽵内会⻑そして愛知県常沢、⼩林両副会⻑の⽅々でございます。(末尾の参加者⼀覧をご覧ください。)
それぞれ⼀泊2⽇から三泊4⽇と各位⽇程を組み、現地に赴いていただきましたクラブ員の皆様には、ご多忙にもかかわりませず、緊急の要請に応じ、地震による交通機関の寸断、道路の遮断等現地へのアクセスすら困難な条件下、通常なら5,6時間の旅程のところ9時間余も要した⽅もおられる等本当にご苦労をおかけしました。
とりわけ、現地におきましては、悪天候や厳しい寒さに加え、震度5を含む余震が引き続き、作業や睡眠がしばしば妨げられる中、粛々と⽀援に従事していただきました。

さらに、現地⼩千⾕市婦⼈防⽕クラブ代表佐藤笑⼦様ほか8名のクラブ員におかれましては、全員被災者であり、当時なおテントや⾞の中で夜を過ごされるなど避難中にもかかわらず、また、ご⾃宅の整理・清掃や地域の応急対策に携わりながら、4⽇間にわたり、⾃発的に活動を共にしていただきました。
地元婦防は消防本部の指導の下、平時から活発に活動しており、偶々発災5⽇前の10⽉18⽇に約40名による新潟市等への市外視察研修を⾏った直後であったこと、佐藤代表(会⻑)等3名のクラブ員が前年(平成15年)7⽉当協会主催の「全国婦⼈防⽕クラブ市町村幹部研修会」に参加されていたこと等研鑽を積まれておられたことで「結束⼒や使命感が培われていた(佐藤会⻑談)。」とのこと。
なお、発災直後は消防本部やクラブ員間の連絡も途絶え、避難先も同⼀地区でも何箇所にも散逸し、停電と道路の破損等もあり安否確認すら困難な状況にあったそうです。佐藤会⻑の地元区⻑のお話では、「地区全域が被災したが、発災翌⽇から堅固な保育園を避難所拠点とし、炊事班等住⺠の役割分担を定め、給⾷も集中して⾏った。奥地の畑に⽴ち⼊ることが出来ない等⾷材の⼊⼿には苦労した。何より⽣活再建は⾃⽴が⼤切、交通条件が改善され、⼀部の商店が開業した11⽉3⽇には、全住⺠に⾃⽴を図るよう促し、避難所の炊出しは⾏わない。」とのことで地元再建に向け、早くも歩み出しておりました。
また、新潟県上越地域消防組合(旧直江津市、旧⾼⽥市等)様には、多⼈数となった11⽉4,5⽇の2⽇間、2名の職員と共に2マイクロバスの派遣をいただき、⽀援者の送迎及び静岡県婦防からお届けいただいた新鮮な野菜など⽀援物資の搬送等を⾏っていただきました。
(⽀援活動状況等)

他県からの⽀援者は、当協会の⽤意した柏崎市内の旅館に拠点を置き、現地⽀援は⼩千⾕市災害対策本部の直接の指⽰の下で⾃衛隊災害派遣部隊及び市職員と共に活動することとなりました。
なお、柏崎市から⼩千⾕市へのアクセスは、⾼速道路が29⽇に復旧したものの緊急⾞両優先等により⼤渋滞でしたので、柏崎市内在住の⽅で⼩千⾕市に店を出している⽅から⼩国町経由の迂回路をお教えいただきますと、全く渋滞もなく30〜40分程度の所要時間で到達可能となりました。
このような場合は、やはり地元の⽅にうかがうのが良いようです。

早朝5時過ぎの起床、6時朝⾷、7時からの現地作業と⽇程も厳しく、10⽉31⽇(⽇)から11⽉5⽇(⾦)までの6⽇間、オニギリだけでも計6万2千個、1⽇平均⽩⽶650キロ、1万個を握り続けました。
しかしながら、⾃衛隊による炊飯との共同作業ですから、間断のない炊き上げに合わせての⽴ち通しの作業であり、ほとんど休息時間もなく昼⾷すらも取れない状況で、早朝7時から11⽉1⽇の1万4千個のピーク時の作業終了は午後3時ごろとなりました。
炊き上げ直後の⾼温に耐えられるよう軍⼿の上にゴム⼿袋をし、包装⽤の薄いビニールにご飯をよそる者、漬物等切り出された具をまぶす者、握る者、数を確認し搬送⾞への引渡しを担う者等の流れ作業ですが、握りすぎると時間と共に硬くなって⾼齢者には不向きということで婦防の皆様、それぞれ握り加減にも気を配っておられました。
なお、11⽉5⽇時点に⾄りましても、おにぎりへの避難住⺠の要望は強く、なかなか必要数が確保できないそうで、市災対本部は7⽇(⽇)まで作業を続けるとのことでした。

実際、ある避難所の区⻑さんは、「おにぎりなど⾒たこともない。」(11⽉3⽇)と語っておられましたが、市の懸命なご努⼒にもかかわらず、避難者・避難場所が余りに多いこと等からの配送・配布作業の困難さをうかがわせました。
なお、その避難所も区⻑さんを中⼼に、炊事班や遠⽅の町への買出し班などを組織し、⾃⽴・⾃活の避難所運営に努めておられました。
私どもの⽀援を5⽇で打ち切りとしましたのは、都市ガス等ライフラインは依然として完全復旧の目途は⽴たず、避難住⺠も⼤きく減少していないが、市内のスーパーやコンビニがかなり営業を再開したこと、交通条件が著しく改善したことで物流への⽀障も改善し、かつ、6,7⽇、⼟、⽇には県内外の⼀般ボランテイアが相当⼊市するであろうという判断によるものであり、関係機関のご了承を得て撤退をいたしました。
なお、お⾒送りいただいた⼩千⾕地域消防本部も組合消防として⼭古志村や川⼝町という甚⼤な被災地を抱え、発災直後から⽂字通り不眠不休で対応に当たっておられました。救急業務を⾒ましても市⺠病院がほとんど機能不全に陥り、⼊院患者、重症患者等は、ヘリにより上越地域等に搬送せざるを得ないという状況で、このような職員の皆様の献⾝的なご努⼒にも改めて敬意を表したいと存じます。

厳冬を目前に、さらに⻑い復興・復旧の困難な⽇々が続くことでしょうが、地元婦⼈防⽕クラブの皆様を始め震災に⾒舞われた地域の⼀⽇も早い復興をお祈りしつつ1週間に亘る⽀援作業を終えました。ご参加いただいたクラブ員の皆様におかれましては、機会あるごとに被災現場の状況、避難所運営、⽀援物資のあり⽅や搬送・配布、とくに福井豪⾬災害時の⽀援と合わせ「⾷」を通じた災害対応について皆様が⾒聞された実態や貴重なご経験をそれぞれの地域はもとより全国の婦⼈防⽕クラブ、消防関係者等にお伝えいただきたいと存じます。
平成16年度新潟中越地震・緊急⽀援参加者⼀覧
⽒ 名 | 所 属 | 所轄消防本部名 | 備 考 |
⽵内 久⼦ | 千葉県婦⼈防⽕クラブ連絡協議会会⻑ | ||
藤井 千鈴⼦ | 群⾺県婦⼈防⽕クラブ連絡協議会会⻑ | ||
新井 明⼦ | 埼⽟県婦⼈防⽕クラブ連絡協議会会⻑ | ||
⼩林 寿美⼦ | 越⾕市婦⼈防⽕クラブ連絡協議会会⻑ | 越⾕市消防本部 | |
⼤島 ⽟⼦ | ⾦沢市婦⼈防⽕クラブ協議会会⻑ (⽯川県⼥性防⽕クラブ連絡協議会副会⻑) | ⾦沢市消防局 | 随⾏︓⽯川県消防防災課 |
本⾕ 悦⼦ | ⾦沢市婦⼈防⽕クラブ協議会副会⻑ | ||
有⽥ 登美⼦ | |||
⽵川 操枝 | |||
⼭本 広⼦ | 加賀市⼥性防⽕クラブ連絡協議会 | 加賀市消防本部 | 随⾏︓加賀市(本)消防課 (2名) |
⻄ 柳⼦ | |||
正⽊ ⾥江⼦ | |||
松岡 昌⼦ | 富⼭県婦⼈防⽕クラブ連絡協議会会⻑ | ||
吉岡 千鶴⼦ | ⾼岡市下関婦⼈消防隊 | ⾼岡市消防本部 | |
中井 好⼦ | 福野町⼋塚婦⼈防⽕クラブ | 礪波広域圏事務組合消防本部 | |
⽚⼭ 睦⼦ | |||
⾼波 喜代美 | ⼩杉町婦⼈防⽕クラブ | ⾦⼭⽀部射⽔消防組合消防本部 | |
⽯倉 直美 | 滑川市野町婦⼈消防隊 | 滑川市消防本部 | |
堀 實⼦ | ⽴⼭町婦⼈消防隊連合会 | ⽴⼭町消防本部 | |
関沢 美保⼦ | 新湊市婦⼈防⽕クラブ連絡協議会 | 新湊市消防本部 | |
⼤浦 まる⼦ | 福光町婦⼈防⽕クラブ連合会 | 礪波広域圏事務組合消防本部 | |
住本 晴美 | ⼋尾町野積婦⼈防⽕クラブ | ⼋尾町消防本部 | |
鈴⽊ 政⼦ | 静岡県⼥性防⽕クラブ連絡協議会会⻑ | ||
⽊村 淑恵 | 静岡県⼥性防⽕クラブ連絡協議 | 会磐南⾏政組合磐⽥消防本部 | |
常沢 ゆかり | 愛知県婦⼈消防クラブ連絡協議会副会⻑ | ||
⼩林 春代 | |||
佐藤 笑⼦ | ⼩千⾕市婦⼈防⽕クラブ連絡協議会会⻑ | ⼩千⾕地域広域消防本部 | |
内⼭ 笑⼦ | ⼩千⾕市婦⼈防⽕クラブ員 | ||
若井 久⼦ | |||
⽯坂 ⼸⼦ | |||
⼤⽵ 孝⼦ | |||
佐藤 カズエ | |||
⽥中 多恵⼦ | |||
⼩船井 キヨ |
※11/4〜11/5上越地域消防事務組合(直江津市/⾼⽥市)より,職員2名派遣を受け,柏崎⇔⼩千⾕市間の送迎を担当.
※敬称 略