平成16年秋季全国⽕災予防運動実施について
秋から冬にかけて⽕気を使う機会が増え、⽕災が発⽣しやすい時期を迎えるに当たって、⼀⼈ひとりが⽕災予防の知識を持ちそれを実践することにより、⽕災の発⽣を防⽌し死傷事故や財産の損失を防ぐことを目的として、秋季全国⽕災予防運動を実施します。実施時期は11⽉9⽇(⽕)から15⽇(⽉)までの7⽇間で、各地で住宅防⽕診断、防⽕講習会、防⽕指導など様々な⾏事を予定していますので、積極的に参加して防⽕知識・技能の習得に努めてください。
今年は『⽕は消した︖ いつも⼼にきいてみて』を統⼀標語とし、本年6⽉の消防法改正を踏まえた住宅⽤⽕災警報器等の設置の促進を図る「消防法改正を踏まえた住宅防⽕対策の推進」や、年々増加傾向にある放⽕⽕災及び社会影響が⼤きい連続放⽕⽕災による被害の減少を目的とした「放⽕⽕災・連続放⽕⽕災予防対策の推進」、さらには消⽕器の不適切点検の予防策の周知や⽼朽消⽕器等の破裂事故防⽌を図るための「消⽕器の適切な維持管理の推進」を重点目標に掲げ、積極的に⽕災予防対策を推進します。
また、各地域ごとの多様な課題に対応した防⽕安全体制の充実、新築⼯事中及び多数の⼈が出⼊りする建物の防⽕安全対策の徹底並びに新宿区歌舞伎町の⼩規模雑居ビル⽕災に⾒られるような消防法令違反による危険性の周知徹底を図るとともに、⽇本を代表する企業施設での連続⼤規模⽕災並びにごみ固形化燃料施設での⽕災・爆発事故等を教訓としたこれらの施設の安全確保を、地域の実情に応じた重点目標として推進を図ることとしています。
重点目標
(1) 消防法改正を踏まえた住宅防⽕対策の推進
(2) 放⽕⽕災・連続放⽕⽕災予防対策の推進
(3) 消⽕器の適切な維持管理の推進
地域の実情に応じた重点目標
(1) 地域における防⽕安全体制の充実
(2) 特定防⽕対象物等における防⽕安全対策の徹底
(3) ⼩規模雑居ビル等の消防法令違反対象物の危険性の周知徹底
(4) ⼤規模産業施設の安全確保
なお、秋季全国⽕災予防運動の実施に当たって、住宅⽕災による死者の発⽣防⽌対策の要点をまとめた、「住宅防⽕ いのちを守る7つのポイント」が⽰されています。
住宅防⽕ いのちを守る7つのポイント
-3つの習慣・4つの対策-
3つの習慣
- 寝たばこは、絶対やめる。
- ストーブは、燃えやすいものから離れた位置で使⽤する。
- ガスこんろなどのそばを離れるときは、必ず⽕を消す。
4つの対策
- 逃げ遅れを防ぐために、住宅⽤⽕災警報器を設置する。
- 寝具や⾐類からの⽕災を防ぐために、防炎製品を使⽤する。
- ⽕災を⼩さいうちに消すために、住宅⽤消⽕器等を設置する。
- お年寄りや⾝体の不⾃由な⼈を守るために、隣近所の協⼒体制をつくる。
1 消防法改正を踏まえた住宅防⽕対策の推進
住宅⽕災による死者数の急増等にかんがみ、平成16年の通常国会において消防法が改正され、住宅に住宅⽤防災機器(住宅⽤⽕災警報器⼜は住宅⽤⾃動⽕災報知設備(以下「住宅⽤⽕災警報器等」という)を政令で定める予定)の設置及び維持が義務付けられたことを踏まえ、⽕災予防運動期間中において、具体的な住宅防⽕対策として、住宅⽤⽕災警報器等の普及促進を図るものとする。
特に、⾼齢社会の進展に伴って⽕災による⾼齢者の被害がますます増加することが懸念されることから、地域住⺠が主体となって、関係機関及び関係団体等と連携し、安全安⼼なまちづくりの⼀環として、⾼齢者・障害者等災害弱者を中⼼とした防⽕安全対策の推進を図るものとする。
(1) 住宅⽤⽕災警報器、住宅⽤消⽕器等の住宅⽤防災機器等の設置促進
消防法改正により、住宅における住宅⽤⽕災警報器等の設置及び維持が義務化されることとなるが、家庭における出⽕防⽌や消⽕・避難の対策を効果的に⾏うためには、⽕災を未然に防ぐ安全な暖房器具・調理器具や燃えにくいカーテン等の防炎物品及び寝具・⾐類等の防炎製品の使⽤をはじめ、⽕災を早期に知らせる住宅⽤⽕災警報器、消⽕のための住宅⽤消⽕器やエアゾール式簡易消⽕具、住宅⽤⾃動消⽕装置、住宅⽤スプリンクラー設備などの設置が有効であり、これらの住宅⽤防災機器等の普及について、積極的に促進するものとする。
また、これらの住宅⽤防災機器等の普及に当たって、住宅防⽕対策推進協議会のホームページ(http://www.jubo.go.jp/index2.html)に取扱店リストが掲載されているので積極的な活⽤を図るものとする。
(2) 婦⼈防⽕クラブ等の⾃主防災組織と連携した広報・普及活動の推進
個⼈が私⽣活を営む場である住宅の防⽕責任は、当該個⼈が負うべきではあるものの、地域に根ざした消防団、婦⼈防⽕クラブ等と連携して、地域住⺠が主体となって組織的に⽕災予防運動に取り組むことが肝要であり、個⼈のプライバシーに配慮しつつ⾼齢者・障害者等の災害弱者のいる家庭への防⽕訪問等を⾏うことにより、住宅⽤防災機器等の取扱⽅法やその効果について幅広く広報・普及活動を⾏うものとする。
(3) ⾼齢者等の災害時要援護者の把握とその安全対策に重点を置いた死者発⽣防⽌対策の推進
住宅⽕災においては、⾼齢者等の死者数、また、就寝中等の逃げ遅れの死者数が多く、その発⽣を防⽌するため、家庭における⽕災予防や避難の対策はもとより、⽕災の早期発⾒に有効な住宅⽤⽕災警報器等の設置促進を図るとともに、寝具・⾐類等への着⽕防⽌に有効な防炎製品の使⽤について積極的に指導するものとする。
また、⼀⼈暮らしの⾼齢者等で⾝体病弱⼜は要介護状態等にあるため緊急事態に機敏に⾏動することが困難な災害時要援護者(以下「要援護者」という)について、福祉関係部局や地域の福祉協⼒者等が地域単位で協⼒・連携して情報を把握するとともに、地域が主体となって各種対策に重点的に取り組むものとする。
さらに、要援護者等と接する機会の多い、ホームヘルパー、⺠⽣委員等の福祉関係者や防⽕クラブ員等に対して、住宅防⽕対策推進協議会で作成・配布した指導教材等を活⽤することにより、⽕災予防に関する知識の普及を図るとともに積極的な協⼒を働きかけ、地域が⼀体となった防⽕安全対策を推進するものとする。
(4) 地域の実情を踏まえた住宅防⽕対策推進組織等の整備・充実とモデル事業の推進
地域住⺠が主体性を持って住宅防⽕対策を展開するためには、関係機関及び関係団体等が密接な連携を図るための地⽅組織の整備とこれによる活動の⽀援・推進が不可⽋である。
このため、各都道府県及び市町村等を単位として、地域に密着した住宅防⽕対策推進組織の整備・充実を⼀層進めるとともに、住宅防⽕モデル地区の指定によるモデル事業の推進等と、その成果の他地区への積極的活⽤を図り、地域に密着した実効性の⾼い住宅防⽕対策を積極的に推進するものとする。
(5) 地域住⺠を主体とした⾼齢者・障害者等の要援護者の安全対策の推進
⾼齢者・障害者等の要援護者の安全対策を推進するためには、地⽅⾃治体、福祉関係団体、事業所等が地域住⺠と⽇頃から連携し、災害に強いまちづくりの⼀環として取り組むことが望ましい。特に、地域住⺠が主体となって要援護者の防⽕安全対策に主体的にかかわることが重要である。
このため、⽕災予防運動期間中に⾏われる⾏事等にできるだけ多くの地域住⺠が参加することを重点目標の⼀つに掲げ、住⺠に対する防⽕・防災知識の普及と啓発に努めるものとする。
併せて、消防団、⾃主防災組織、婦⼈防⽕クラブ、幼少年消防クラブ等各団体との連携体制の整備充実を図り、⽕災予防啓発活動を促進する。
(6) 地域の実情に即した広報の推進と具体的な対策事例等の情報提供
住宅防⽕対策のパンフレット等による広報及び地域のミニコミ誌、雑誌、ローカルテレビ、CATV等地域住⺠が⽇頃から接している各種のメディアを積極的かつ効果的に活⽤するとともに、住宅防⽕に関する展⽰会等の開催や、町内会・⾃治会等の公共的団体等の地域の会合を活⽤する等して、地域に密着した親しみやすい広報を実施するものとする。
また、広報内容については、住宅防⽕対策推進協議会のホームページ、パンフレット、広報⽤の素材集等を活⽤し、住宅防⽕対策の必要性をわかりやすく明確に伝えるとともに、具体的な対策事例及び住宅⽤防災機器等の普及に必要な情報を⼯夫して提供するものとする。なお、広報⽤の素材集については、住宅防⽕対策推進協議会のホームページに掲載しているので、効果的な活⽤を図るものとする。
さらに、住宅⽕災における発⽕源別でみた死者数は、たばこ、ストーブ、こんろを原因とする⽕災によるものが上位を占めていることから、これらの⽕災に対する防⽕対策について、要点を踏まえた広報を実施するものとする。
(7) 広範な機会を捉えた住宅防⽕診断、座談会等の実施
ホームヘルパー、⺠⽣委員等の福祉関係者との連携・協⼒を図り、独居世帯、⾼齢者や障害者等が居住する住宅について、訪問診断を重点的に実施するものとする。
また、座談会、展⽰会、各種イベント等の機会を捉えて、住宅防⽕の必要性と具体的対策を地域住⺠に直接呼びかけることにより、各住宅において適切な対策がとれるよう指導するものとする。
この場合、住宅防⽕対策推進協議会のパンフレットや、住宅防⽕診断⽤パソコンソフト『消⼦ちゃんの住宅防⽕ねっとCD-ROM版』の積極的な活⽤により、個々の住宅の具体的な防⽕安全対策の推進を図るものとする。
2 放⽕⽕災・連続放⽕⽕災予防対策の推進
(1) 放⽕されない環境づくりの推進
放⽕による⽕災は、6年連続して出⽕原因の1位(平成15年の消防⽩書)であり、放⽕の疑いによる⽕災を含むと、平成4年以降連続して1万件を超え、全⽕災件数の2割を占めている。
このようなことから、放⽕⽕災予防対策マニュアルを活⽤し、関係⾏政機関、関係団体、町内会及び住⺠等が連携し、地域が⼀体となって対策を推進し、放⽕⽕災予防対策協議会等の組織を積極的に整備するものとする。
また、地域における放⽕⽕災の実情を分析し、その特性等に応じた放⽕防⽌モデル地域の設定、学校・⾃治会等における対象別・環境別⽕災予防教育の実施や、放⽕⽕災予防診断、座談会等を実施するなどして意識の⾼揚を図り、放⽕されない環境づくりを推進するものとする。
特に、放⽕が多発する地区等にあっては、可燃物を放置しない等の地域の環境整備はもとより、関係機関等との連携を図り、重点警戒の実施や街灯の増設、侵⼊監視センサー、警報器、センサー付き照明等の防⽕・防犯設備の設置を促進するなど、地域の実情に応じた効果的な対策を講じるよう指導するものとする。
(2) 放⽕⽕災による被害の軽減対策の実施
放⽕⽕災は、死角となる場所や深夜に発⽣することが多く、発⾒の遅れによって被害が拡⼤するおそれがあることから、放⽕監視機器、住宅⽤⽕災警報器や炎感知器、消⽕器具等の設置による被害軽減対策を講じるよう指導するものとする。
また、⾃動⾞や⾃転⾞などのボディカバーに放⽕される例も多発していることから、これらの防炎製品について情報提供を図り、使⽤を促進するものとする。
3 消⽕器の適切な維持管理の推進
(1) 消⽕器の不適切点検に係る予防策の周知及びトラブル情報の伝達体制の構築
- ア 消⽕器の不適切点検については、「消⽕器不適正点検に係る実態調査について(依頼)」(平成16年1⽉27⽇付消防予第13号)にて調査、報告していただき、その結果を「消⽕器不適切点検に係る執務資料の送付について」(平成16年9⽉10⽇付消防予第162号)の別添にて送付した資料及びリーフレットを活⽤し、予防策やトラブルにあった場合の対応策等の周知を図るものとする。
- イ 消⽕器の不適切点検に係るトラブル情報の伝達体制については、トラブルの発⽣状況を踏まえ、再発防⽌を図ることを主眼に置き、消防機関相互の連携も含めて情報の共有化を図るものとする。その際に、全国消防⻑会を中⼼に運⽤されている「消⽕器等の不適正取引に関する情報提供要領」等を積極的に活⽤するものとする。
(2) ⽼朽化消⽕器等の⼀⻫回収
ア 政府のミレニアム・プロジェクトの成果を活かしたリサイクル消⽕器(エコマーク付き消⽕器を含む。)の普及促進及び⽼朽消⽕器の破裂事故防⽌対策を推進するため、住宅等における⽼朽化した消⽕器等の⼀⻫回収を実施するものとする。
⽼朽化した消⽕器等の回収に当たっては消防機関が中⼼となり管内市町村(清掃部局)と連携を図るとともに、消⽕器の販売・点検業者等と協議して、各地域に適した消⽕器の回収⽅法を決定するものとする。
この場合において、回収⽅法としては、①住⺠から直接消⽕器を販売店舗等に持ち込み、販売・点検業者が回収する⽅法、②⼀定期間、消防機関が回収場所(イベント会場等)を指定し、住⺠から当該場所に持ち込まれた消⽕器を販売・点検業者が回収する⽅法などが考えられる。なお、回収された消⽕器については、社団法⼈⽇本消⽕器⼯業会会員各社等において、処理されることとなっている。
イ 消⽕器の適切な維持管理のため、市町村においては、⽼朽化した消⽕器を回収する際に、その⽼朽度合いが著しいものについて不適切な扱いによる事故が起こらないよう注意喚起するとともに、⼀⻫回収の⽅法や消⽕器の設置について積極的に広報を⾏い、⽼朽化消⽕器等の回収と消⽕器の普及促進が円滑に⾏われるようにするものとする。
4 地域の実情に応じた重点目標の取扱い
⽕災予防運動の実施に当たっては、上記のほか、地域における⽕災発⽣状況、⽕災特性、消防事情等に配慮し、必要に応じて重点目標を選定、追加するなど、地域の実情に応じた運動を展開するものとする。
特に、⼩規模雑居ビル等の消防法令違反対象物に関する危険性の周知については、防⽕講習会や各種イベント等の機会を捉え、防⽕安全に係る啓発を積極的に図っていくこととする。
《例》
(1) 地域における防⽕安全体制の充実
- ア ⾃主防災組織の整備充実
- イ 在⽇外国⼈に対する⽕災予防広報の実施
(2) 特定防⽕対象物等における防⽕安全対策の徹底
- ア 防⽕管理体制の充実
- イ 避難施設等及び消防⽤設備等の維持管理の徹底
- ウ 消防⽤設備等の設置の促進
- エ 防炎物品の使⽤の徹底及び防炎製品の使⽤の推進
- オ 違反のある特定防⽕対象物、⼩規模雑居ビル等に対する違反是正指導の推進
- カ ⼯場、倉庫等の防⽕安全対策の徹底
- キ ⽂化財建造物等の防⽕安全対策の徹底
- ク 新築・⼯事中の防⽕対象物の防⽕安全対策の徹底
(3) ⼩規模雑居ビル等の消防法令違反対象物の危険性の周知徹底
- ア 地域の実情に即した広報の推進
- イ 被災時における注意点等、防災意識の⾼揚
(4) ⼤規模産業施設の安全確保
- ア 当該施設の実態把握
- イ 当該施設で取り扱う危険性物品(廃棄物の処理・加⼯品を含む)の把握
- ウ 当該施設に係る防⽕安全対策の徹底