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2019年6月

1.風水害に対する備え

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総務省消防庁 防災情報室


「平成30年7月豪雨」による洪水被害
岡山県倉敷市真備町(東京消防庁提供)
はじめに
 我が国では毎年、台風や梅雨前線等の影響による多量の降雨があり、全国各地で洪水や土砂災害等の風水害が発生しています。
 平成30年7月豪雨では、長時間にわたる記録的な大雨により、各地で河川の氾濫による浸水や土砂崩れ等が発生し、特に岡山県、広島県及び愛媛県においては、多数の死者が発生するなど甚大な被害がもたらされました。

洪水
 流域に降った多量の雨水が河川に流れ込み、特に堤防が決壊すると、大規模な洪水被害が発生します。 平常時には川遊びができるような穏やかな河川であっても、短時間で局地的に激しい雨が降り注ぐと、急激に増水して氾濫し、流域に甚大な被害をもたらす場合があり、実際に各地でそうした事例が発生しています。

土砂災害
 土砂災害とは、大雨や地震などが引き金となり、山や崖が崩れたり、土砂が雨などの大量の水と混ざり合って一気に流れたりする自然災害で、すさまじい破壊力をもつ土砂が一瞬にして多くの人命や住宅などの財産を奪ってしまう恐ろしい災害です。

局地的な大雨による災害
 気象庁によると、近年、雨の降り方が局地化、集中化、激甚化しており、中小河川の急な増水、地下空間やアンダーパス(※)の浸水等により、車が立ち往生したり、床上・床下浸水等の被害が生じる事例が多く発生しています。
※アンダーパス:交差する鉄道や他の道路などの下を通過するために掘り下げられている道路などの部分をいい、周囲の地面よりも低くなっているため、大雨の際に雨水が集中しやすい構造となっています。

早めの避難が命を救う
 災害発生のおそれがある場合、居住者等の安全を考慮して、市町村から避難勧告等の避難に関する情報が伝達されます。避難勧告等が伝達された場合には、すぐに安全な場所に避難しましょう。
 また、避難勧告等が伝達されていなくても、身の危険を感じた場合には、「自らの命は自らが守る」という心構えで、自発的に避難することが重要です。
 都道府県や市町村では、防災訓練や防災に関する講演会等を定期的に実施しています。こうした訓練等にぜひ積極的に参加して、いざという時にとるべき行動などを今一度確認しましょう。


<警戒レベルの概要>
警戒レベルの導入
 平成30年7月豪雨では、防災情報が発信されていたものの、多様かつ難解であるため多くの住民が活用できない等、様々な課題がありました。これらの課題を踏まえ、中央防災会議の下に設置されたワーキンググループによる検討が行われ、 住民が自らの命は自らが守るという意識を持ち、また、行政は住民が適切な行動をとれるよう全力で支援するという目指すべき社会の方向性が示されました。その具体的施策の一つとして、住民が様々な防災情報の意味を直感的に理解できるよう、防災情報を上図のとおり5段階の警戒レベルにより提供し、住民等の避難行動を支援することとされました。
 警戒レベル5は、既に災害が発生してしまっている状況であることから、警戒レベル5を待つことなく、警戒レベル3避難準備・高齢者等避難開始で高齢者等の避難に時間がかかる方々が避難を開始し、警戒レベル4避難勧告で全員が避難することが求められます。また、気象庁等が発表する各種の気象警報等にも避難の判断の参考となるよう警戒レベルの数字が付されることとなります。なお、この仕組みは、本年の出水期からの運用開始を予定しております。

(総務省消防庁「消防の動き 2019年5月号より」)

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