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2021年8月

3.住民自らによる災害への備え

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総務省消防庁 地域防災室

 日本列島は、その位置、地形、気象等の条件から、地震、台風や梅雨前線による集中豪雨、大雪等による自然災害が発生しやすい環境にあり、昨年も、台風やその影響による集中豪雨等の幾多の自然災害により多くの被害が発生しました。
 近年、気候変動の影響等による既存の想定を上回る災害の発生や、いつ起きてもおかしくないとされる南海トラフ地震、首都直下地震等の大規模地震の切迫性に加えて、火山災害や雪害といった、過去の災害教訓を踏まえると、行政による対応のみでは被災者の救助や消火活動等に限界があるため、住民自身・相互の活動体制をいかに整えるかが課題となっています。
 そこで、「自分たちの地域は自分たちで守る」という自覚、連帯感に基づき、自主的に結成された組織が自主防災組織です。平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災を契機にその重要性が見直され、全国各地で積極的な組織の結成・育成に取り組まれています。(令和2年4月1日現在、16万9,205団体)。自主防災組織は、平常時には防災訓練の実施、防災知識の普及啓発、災害危険箇所の点検、資器材の購入・点検等を行い、災害時においては初期消火、避難誘導、救出・救護、情報の収集・伝達、給食・給水、災害危険箇所の巡視などを行います。

連携による活動の活性化
 地域の安心安全を守るために活動している自主防災組織が、地域の垣根を越えて互いに連携し、また、消防団、学校、企業など地域の様々な防災活動団体と連携し、お互いの得意分野を活かして補完し合うことで、地域の防災力をより高めることが出来るようになります(図)。

(図) 様々な関係機関との連携により期待できること

 今回は、地域における先進的な事例として、「第25回(令和2年度)防災まちづくり大賞」において、総務大臣賞を受賞された宮城県多賀城市(たがじょうし)の多賀城高等学校の取組を紹介します。
 宮城県多賀城市は、海に面したところはほとんどないにもかかわらず、東日本大震災では、「都市津波型」と呼ばれる津波に襲われ、甚大な被害を受けました。多賀城高等学校は、この経験から全国で2例目となる防災系学科「災害科学科」を設置し、地域や自治体とも連携して、その教訓や経験を後世に伝える防災教育のパイロットスクールを目指し、「津波標識設置活動」や「まち歩き案内活動」など、地域防災に係る様々な取組を行っています。
 ここで特筆すべきは、これらの取組は「災害科学科」の生徒だけでなく、生徒会などを中心として「普通科」の生徒も含めた全校規模での取組であり、これが学校と地域住民・事業所との連携を強め、地域と力を合わせて震災の伝承を続ける原動力となっていることです。
 本事例は、防災教育のみならず、生徒が地域防災活動の主体として精力的な取組を行う優れた事例であり、地域住民とのつながりを活かして防災まちづくりを進めていきたいと考える地域の参考となる取組です。

宮城県多賀城高等学校の津波標識設置活動の様子
(出展:第25回防災まちづくり大賞)
 このように、普段から地域の関係団体と連携・協力関係を築き、地域における人的ネットワーク(つながり、結びつき)を広げ、地域コミュニティの強化を図ることが、いざという時に大きな力となります。

 自主防災組織については、消防庁が作成した「自主防災組織の手引」に詳しく記載しています。下記のURLからご覧いただけますので、ぜひ参考にしてください。



●「自主防災組織の手引」(平成29年3月改訂)
https://www.fdma.go.jp/mission/bousai/ikusei/items/bousai_2904.pdf

(総務省消防庁「消防の動き」 2021年7月号より)

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