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2016年8月

2.住民自らによる災害への備え

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総務省消防庁 地域防災室

 日本列島は、その位置、地形、気象等の自然条件から、地震、台風や梅雨前線による集中豪雨、大雪等による自然災害が発生しやすい環境にあります。昨年度においても、5月には鹿児島県口永良部島の噴火、9月には関東・東北豪雨による水害、また、今年4月には熊本地震など、全国各地で大きな災害が発生しました。
 また、南海トラフ地震、首都直下地震など大規模地震の発生が懸念されており、このような事態が発生すると、地震の揺れや津波などによって甚大な被害が広範囲にわたって発生することが予測されています。
 大規模災害時には被害が大きくなればなるほど、消防などの公的機関による消火、救助、救急などの活動が追いつかなくなることが想定されます。例えば大地震が発生し、消防車がすべて出払い、がれきで道路が塞がれ、生き埋めになっている人や負傷者が大勢いたら-そこで大きな役割を果たすのが、地域住民自らによる防災活動です。
 その代表的なものとして消防団がありますが、その他にも地域住民による防災組織として、自主防災組織があります。自主防災組織とは、「自分たちの地域は自分たちで守る」という自覚、連帯感に基づき、地域で住民が自主的に結成する組織のことで、平常時には防災訓練の実施、防災知識の普及啓発、災害危険箇所の点検、資器材の購入・点検等を行い、災害時においては初期消火、避難誘導、救出・救護、情報の収集・伝達、給食・給水、災害危険箇所の巡視などを行います。自主防災組織は、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災を契機に、その重要性が見直され、全国各地でその結成・育成が積極的に取り組まれています。(平成27年4月1日現在、15万9,967団体)

連携による活動の活性化

 地域の安心安全を守るために活動している自主防災組織が、地域の垣根を越えて互いに連携し、また、消防団、学校、企業など地域の様々な防災活動団体と連携し、お互いの得意分野を活かして補完し合うことで、地域の防災力をより高めることができるようになります。(図)
 ここで、地域の住民が連携して防災のまちづくりを行っている和歌山県海南市塩津区防災会の取組事例を紹介します。
 海南市塩津区防災会は、南海トラフ地震に備えるために結成された自主防災組織で、「自分たちでできることはすべてやる」を合言葉に避難訓練や安否確認訓練、避難所運営訓練等の各種訓練に自治会や消防団、学校等が一体となって取り組んでいます。
 このように、普段から地域の関係団体と連携・協力関係を築き、地域における人的ネットワーク(つながり、結びつき)を広げ、地域コミュニティの強化を図ることが、いざという時に大きな力となります。

図 さまざまな関係機関との連携により期待できること
図 さまざまな関係機関との連携により期待できること


【安否確認訓練】避難後の防災委員による安否確認の様子(出典:第20回防災まちづくり大賞)
【安否確認訓練】避難後の防災委員による
安否確認の様子
(出典:第20回防災まちづくり大賞)
 自主防災組織については、消防庁が作成した「自主防災組織の手引」に詳しく記載しています。下記のURLから御覧いただけますので、是非参考にしてください。
「自主防災組織の手引き」
 また、自主防災組織は各地域において様々な取組が行われていますが、そのような活動事例を参考にすることも重要です。そのような事例を集めた活動事例集を消防庁で作成していますので併せて御覧ください。
「東日本大震災における自主防災組織の活動事例集」
 災害時には、その地域に住んでいたり、働いていたりしていて、地域をよく知る方々の自主的な防災活動が大きな力を発揮します。皆さんも、自主防災組織の活動に積極的に参加しましょう

(総務省消防庁「消防の動き」 2016年7月号より)

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