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2013年8月

8.【婦防活動】福岡県が東日本大震災被災地視察研修会を実施ほか〔気仙沼〕

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東日本大震災被災地視察研修を終えて

福岡県女性防火クラブ連絡協議会
会長 木下 幸子

 山々の緑が一段と濃くなり吹く風が夏の気配を運んでくる季節となりました。
 東日本大震災から2年と3ヶ月経過しましたが、被災地の復興は思うように進まず、今なお多くの方々が仮設住宅での暮らしをされ、或いは、故郷に帰れずに遠く離れた避難生活を送っていらっしゃいます。
 平成17年の福岡西方沖地震や昨年の九州北部豪雨などは、記憶に新しく今後も福岡県においても、いつ災害が起きてもおかしくない状況にあります。
仙台空港にて復興の歩み写真展を見学
仙台空港にて復興の歩み写真展を見学
 福岡県女性防火クラブ連絡協議会も非常災害に対する危機対応、災害時・災害後において女性防火クラブが果たす役割等について、「災害時における女性防火クラブ活動に関する研修」を行う必要があると考え、6月5日から7日までの3日間総勢23名で東日本大震災被災地を訪問させていただき研修を実施しました。
 1日目仙台空港に到着した際には、岩手県婦人消防連絡協議会の千葉会長さんはじめ地元有志の方々にわざわざお出迎えいただきました。
 早速、仙台空港で3.1mの津波が押し寄せた当時の写真を見学し、その後南三陸町に向かうバスの中では当時のお話しを伺いました。鉄筋だけが残った防災センターの前で
鉄筋だけが残った防災センターの前で
すれ違う車の多くは瓦礫処理の為か他県ナンバーの大型ダンプそして、車窓からの光景といえば、かつて住宅・商店が建ち並び、人・車が行き交っていたであろう町は、何処に逝ったのでしょうか、瓦礫が一ヶ所に集められ、一面土台と雑草の台地と化した状況は、何とも言いようのない思いでした。
 津波で町が消えて無くなっている南三陸町、そして、人々が安全と思って避難した防災センターは鉄筋だけが残り、津波の凄さを物語っています。
 住民に最後まで『津波が来ます、高台に避難してください』と言い続けた防災センター女性職員の方は、いまだに不明のまま、胸がしめつけられる思いで献花をさせていただきました。
 2日目は、気仙沼市本吉町にある「仙翁寺」ここのお寺は、町の避難場所として指定されていませんが、生後2か月の赤ちゃんから91歳のおじいさん約350人が3か月間避難生活された所であり、住職・自治会長の皆さんに当時の避難生活等の話を伺うことができました。また同地区にある仮設住宅を訪問させていただき入居されている方々のお話も伺うことが出来ました。

仙翁寺の住職から当時の様子を聞くクラブ員
仙翁寺の住職から当時の様子を聞くクラブ員
仙翁寺の前にて
仙翁寺の前にて

 ここの仮設住宅は、小学校と隣接する中学校の校庭に、6軒長屋で31棟が建てられ、今は、156世帯470人が生活されています。
 『私達がここに居ることで、子供たちが校庭で遊ぶ事も出来ない。しかし今は、何処にも行くところがありません』と語っておられた自治会長。昼からは、復興の丘に献花させていただき、また、視察研修記念樹木(桜の苗木)を贈呈いたしました。
 その後、陸前高田市に移動途中、鹿折地区には巨大津波で港から約700m離れた陸上に打ち上げられた大型漁船(第18共徳丸)を視察、そして被災地の皆さんに希望を与えた一本松を見学することが出来ました。

復興の丘にて記念樹木を贈呈
復興の丘にて記念樹木を贈呈
打ち上げられた大型漁船を視察
打ち上げられた大型漁船を視察

 夜は、各地域の婦人防火クラブの会長さんや、気仙沼市消防副団長さんほかたくさんの皆さんと意見交換研修会を実施させていただき、家族・知人等を亡くされた状況の中で貴重な体験を語って頂き、胸がつまる思いでした。
 その後の懇親会では、一日も早く元気で幸せの花が咲く事を願って、NHK復興支援ソング「花は咲く」をみんなで歌い踊り、喜んでいただけました。
 今回の津波被害は、私の想像をはるかに超えたものでした。
 地震と津波では「まず命を守れ」という教訓とともに、平成25年5月30日現在、自主再建を実施した世帯以外は仮設住宅暮らしの状況で、ようやく防災集団移転工事が一部開始されただけで、復興も思うように進んでおらず、何よりも職場がなくなって、経済的貧困・人口減少が深刻で、「心の豊かさが求められています。」という地元の方の言葉が心に残りました。
 この貴重な体験を通して、女性防火クラブが果たす役割・対応等について有意義な研修が出来ました。
 復興中の被災地の現状を伺いながら今後の課題・支援等についても私達は、東北の方々への思いを忘れずに息の長い支援を行う必要があります。
 最後にまだまだ復興で大変な中、3日間研修のお世話していただいた岩手県婦人消防連絡協議会の千葉会長様はじめ現地の方々に心から感謝いたします。
 大変お世話になりました、ありがとうございました。
 また、一日も早い復興を心からお祈りいたします。

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第32回「防火のつどい」を開催

宮城県 気仙沼本吉地区婦人防火クラブ連合会

防火宣言
防火宣言
 婦人防火クラブ連合大会「防火のつどい」を平成25年7月7日(日)、「気仙沼市はまなすの館」にて開催しました。
 この大会は、婦人防火クラブ員が一同に集まり、防火・防災に関する知識を習得し、火災などから家庭を守り、安全な地域社会づくりを目指すと共に、各クラブ相互の連携と親睦を深めることを目的としており、今年で32回目を迎え、今回は464名がこのつどいに集まりました。
 開会に先立ち、東日本大震災により亡くなられた多くの仲間や家族への想いを胸に黙祷を捧げた後、優良婦人防火クラブ表彰、意見発表、防火宣言や講演を行いました。
 意見発表では、2名のクラブ員が東日本大震災での経験から得た教訓や、婦人防火クラブ員だからこそ出来る役割について発表し、参加したクラブ員が心を一つに、これからも地域を支えていく決意を新たにしていました。

意見発表
意見発表
 講演では、「釜石の奇跡」で知られる群馬大学理工学研究院教授の片田敏孝氏を講師に迎え、「東日本大震災の教訓~海と共存する文化を備えた地域社会を築く~」との演題により、講師自身が釜石市の子どもたちに行った防災教育を参考に、想定外を生き抜く力や災害文化を如何に地域に根付かせるか等について講演を行いました。
 今大会に参加したクラブ員からは、「地域に持ち帰って皆に伝えたい」や「また講演に来て欲しい」「子どもたちにも是非聞かせたい」といった声が多数聞かれるなど、非常に有意義な大会となりました。

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