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2009年1月

7.自主防災組織リーダー研修会の開催(福岡県・京都府)

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(財)日本防火協会 片山会長新春ご挨拶

福岡県総務部消防防災課

 福岡県では、「平成20年度自主防災組織リーダー研修会」を、篠栗町の「福岡県立社会教育総合センター」で、平成20年11月19日(水)から20日(木)の2日間(1泊2日)開催しました。
 この研修会は、地域における自主防災組織の活性化や組織づくりを積極的に推進する人材の育成を目的に、財団法人日本防火協会と福岡県の共催で開催したもので、県内各地から86名が参加しました。
 はじめに、福岡県消防防災課の平島研二課長が主催者挨拶を行い、2日間の研修が始まりました。

豪雨水害について説明する橋本准教授
 1日目の午前中は、九州大学大学院の橋本晴行准教授から「最近の豪雨災害と福岡県の状況について」と題し、県内で発生した豪雨災害の特徴やメカニズム等について講演いただき、特に平成15年7月19日の博多駅周辺の大水害の例を挙げ、リアルタイムに情報収集を行うことや空振り覚悟で早めの避難を行うことについて、アドバイスをいただきました。
 午後の「自主防災組織の活動事例紹介」では、温泉地である筑紫野市湯町の防災委員会の築地吉男会長からは湯町防災委員会の組織構成や役割分担、防災訓練の内容や防災マップ作成などの取り組み状況について、詳しく説明いただきました。また、宗像市南郷地区コミュニティ運営協議会の三井功会長から組織を立ち上げるまでに出てきた問題点や課題、現在の取り組みや今後の活動計画・目標について説明いただきました。
両講師の講義は、これから自主防災組織を立ち上げようとする自治会役員や自主防災組織役員が共感できる内容であり、参加者も熱心にメモを取っていました。

三角巾を使用して応急手当講習
 その後、日本防災士会福岡県支部の今村事務局長により、防災士制度の概要及び県内の防災士の活動について説明いただき、1日目の最後には、日本赤十字社福岡県支部の指導員3名により、三角巾による応急手当について指導を行っていただきました。参加者からは、特に応急手当については大変参考になったという意見が多くありました。
 2日目の午前中は山口大学の瀧本浩一准教授により災害図上訓練を実施しました。訓練開始前に、「防災」「災害」等キーワードの解説や、図上訓練を実施する目的や効果等について説明をいただきました。参加者も地域の防災上の課題やコミュニケーションなどの重要性を理解し、また、今後の活動につながることから、非常に活気のある図上訓練となりました。

災害図上訓練
 午後も、引き続き瀧本先生にご協力いただき、「災害に強いコミュニティづくり」と題して、まちづくりと連携した防災活動によるコミュニティづくりについて講演をいただきました。自主防犯活動などと連携した活動によって、地域でのコミュニティの再構築を行うという手法を今後の防災活動にも役立てたいとの意見がありました。
 閉講式では、財団法人日本防火協会の冨田静夫課長より、修了証と記念品が手渡され、2日間の研修を終えました。
 この研修は、宿泊で行われており、講習以外の時間においても、参加者同士の意見交換等が活発に行われていました。
 今後、参加された方々がこの研修で学んだことを、各地域の自主防災活動に活かしていただき、本県の地域防災力の向上が図られることを期待しています。
 最後に参加者のアンケート結果を見ると、この研修会は非常に好評であり、再度、受講したいとの意見が多いことから、来年度も引き続き地域の防災リーダーを育成する研修に取り組んでいきたいと考えています。

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(財)日本防火協会 片山会長新春ご挨拶

京都府危機管理・防災課

 京都府では、「平成20年度京都府自主防災組織リーダー研修会」を八幡市にある京都府立消防学校を会場に、11月20日(木)、21日(金)の2日間の日程で開催しました。
 この研修会は、地域における自主防災組織の設立・活性化のために活躍できる人材や組織づくりを積極的に推進できる人材の養成を図ることを目的に、府内の自主防災組織のリーダー等を対象に、財団法人日本防火協会と京都府が総務省消防庁の後援を受け実施したもので、府内各地から45名が参加しました。
 1日目は、府危機管理・防災課 中澤参事の挨拶の後、内閣府が災害時要援護者対策キャラバンを実施されている状況を踏まえ、同志社大学の立木茂雄先生に「災害時要援護者対策の進め方」と題し講演をいただき、研修会が始まりました。
 阪神淡路大震災の映像や2007年能登半島地震の現地調査から、災害時要援護者対策を進めるにあたっては、当事者を交えて、よく時間をかけ、話し合い、信頼を築くことが大切との教示をいただきました。

応急処置訓練
 午後からは、京都府立消防学校の河合和康教官を講師に、応急処置を行う上での心構え等の講話の後、自分の周りで突然人が倒れた場合の心肺蘇生法、自動体外式除細動器(AED)を使った訓練を実施しました。参加者は熱心に耳を傾け、実技にも取り組みました。最後に三角巾を用いた止血法にも取り組みました。
 その後、グラウンドに移動し、地震体験車の試乗を行いました。震度5、震度6の揺れを体感することで防災への関心を高めて頂き、京都府が保有している地震体験車を地域の訓練で活用していただくことをねらいとしました。

地域の防災活動の事例発表
 次に、「地域の防災活動」と題し、宇治市で昭和28年宇治川水害の伝承活動をされている宇治市槇島東地区防災協議会議長で京都府危機管理アドバイザーの辻昌美さん、京都府自主防災活動表彰団体から亀岡市保津町自主防災会の田中勝示さん及び精華町滝ノ鼻防災会の前田二一六さんを講師に招き、活動事例発表をいただきました。地域の防災訓練や小学生も参加しての防災マップづくり、その成果物も配布いただきました。その後、3名の講師の方をアドバイザーに、参加者を3班に分けて意見交流会を行いました。
 地域の防災活動に住民をどう参加してもらうのか。各組織の活動状況の報告、質問など熱心に討論が行われました。
 1日目の最後は、京都府災害ボランティアセンター副代表の吉村雄之祐さんを講師に招き「災害ボランティアセンターの機能と役割について」講義をいただきました。復旧活動に大きな役割を果たすボランティアを受け入れるには、ボランティアセンターと地域の事情をよく知る自治会・自主防災会の連携が大切と、御自身の経験を交えて解説いただきました。
 2日目は、京都府危機管理・防災課の中澤参事を講師に「図上演習DIG」を実施しました。日本地図を広げて、東南海・南海地震の大きさに触れた後、グループにわかれ討論しました。前日に表彰団体の防災リーダーから防災マップを配布されたこともあり、防災資源への書き込みなどにも熱心に取り組みました。
 次に、京都地方気象台 石山満予報官から「気象の見方について」講義を受けました。今夏に各地で被害をもたらした局地的豪雨などについて説明がありました。

立命館大学で開発した防災ゲーム
午後からは立命館大学の大槻知史ポストドクトラルフェローを講師にお招きし、「防災ゲームの活用について」と題し、当大学が開発された防災ゲームに取り組みました。同じ地域に暮らしている企業経営者、会社員、自営業、公務員がすごろくボードにあるポイントに止まったときに、各々の制約のある収入や休暇を使い、時には話し合いにより防災訓練に取り組むなど、自助と共助の防災ポイントを上げていくもので、はじめは難しく感じた参加者も終わる頃にはゲームの奥深さに感心をされていました。
 最後に、修了証及び記念品が財団法人日本防火協会水村課長補佐より代表者に手渡された後、同氏より今回の研修を終えての講評をいただき、2日間の研修を終えました。
 参加者の方々には、本研修会で学んだことや活動を行う上で共通の課題を持つ自主防災組織のリーダー同士、話し合い、導き出した解決策を今後の地域での活動に活かし、地域防災力の向上に取り組んでいただくことを期待しています。

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