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2004年4月

3.平成15年度 火災統計

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平成15年における⽕災の概要(概数)

1 総出⽕件数は対前年⽐7,322件の減少

平成15年における総出⽕件数は56,329件であり、 前年と⽐べると、7,322件の減少(-11.5%)となっています。

これは、おおよそ1⽇あたり154件、9.4分に1件の⽕災が発⽣したことになります。 ⽕災種別ごと前年⽐較をみると、建物⽕災32,383件(1,788件の減・-5.2%)、林野⽕災1,820件(1,523件の減・-45.6%)、⾞両⽕災7,373件(412件の減・-5.3%)、船舶⽕災135件(22件の増・+19.5%)、航空機⽕災3件(1件の減・-25.0%)、その他⽕災14,615件(3,620件の減・-19.9%)となっています。平成10年から増加していた林野⽕災は前年と⽐べますと、⼤幅に減少しています。

2 ⽕災による死者は19⼈の増加、負傷者は340⼈の減少

⽕災による死者は2.254⼈で、前年同期に⽐べると19⼈の増加(+0.9%)となっています。

⽕災種別ごとに前年⽐較をみると、建物⽕災1,499⼈(73⼈の増・+5.1%)、林野⽕災18⼈(1⼈の増・+5.9%)、⾞両⽕災314⼈(22⼈の減・-6.5%)、船舶⽕災5⼈(4⼈の増)、航空機⽕災1⼈(4⼈の減)、その他⽕災417⼈(33⼈の減・-7.3%)の死者が発⽣しています。

また、放⽕⾃殺者等(放⽕⾃殺者及び放⽕⾃殺者の巻き添え)を除いた死者は、前年より68⼈多い1,420⼈となっております。

⽕災による負傷者は8,446⼈であり、前年と⽐べると340⼈の減少(-3.9%)となっています。

⽕災種別ごとにみると、建物⽕災7,291⼈、林野⽕災80⼈、⾞両⽕災376⼈、船舶⽕災31⼈、航空機⽕災0⼈、その他⽕災668⼈の負傷者が発⽣しています。

3 住宅⽕災による死者(放⽕⾃殺者等を除く)は1,070⼈で、昭和61年以来1,000⼈を超える

建物⽕災における死者(放⽕⾃殺者等を除く)は、1,202⼈ですが、このうち住宅(⼀般住宅、共同住宅及び併⽤住宅)⽕災における死者は、1,070⼈であり、前年と⽐べると78⼈の増加(+7.9%)となり、昭和61年以来1,000⼈を超えました。

また、建物⽕災の死者に占める住宅⽕災の死者の割合は、89.0%で、出⽕件数の割合58.5%と⽐較して非常に⾼いものとなっています。

4 住宅防⽕による死者(放⽕⾃殺者を除く)の57%が⾼齢者

住宅⽕災による死者1,070⼈のうち、610⼈(57.0%)が65歳以上の⾼齢者です。

また、住宅⽕災における死者の発⽣した経路別死者数の前年⽐較は、逃げ遅れ751⼈(64⼈の増・+9.3%)、出⽕後再進⼊27⼈(7⼈の増・+35.0%)、着⾐着⽕55⼈(12⼈の減・-17.9%)、その他237⼈(19⼈の増・+8.7%)となっています。

5 出⽕原因の第1位は「放⽕」、続いて「こんろ」

全⽕災56,329件を出⽕原因別にみると、「放⽕」8,227件(14.6%)、「こんろ」5,856件(10.4%)、「放⽕の疑い」5,755件(10.2%)、「たばこ」5,317件(9.4%)、「たき⽕」2,883件(5.1%)の順となっています。また「放⽕」及び「放⽕の疑い」を合わせると、13,982件(24.8%)となっています。

なお、前年同期は、「放⽕」8,216件(12.9%)、「たばこ」6,779件(10.7%)、「放⽕の疑い」6,337件(10.0%)、「こんろ」5,958件(9.4%)、「たき⽕」4,410件(6.9%)の順となっています。

「放⽕」及び「放⽕の疑い」を合わせた件数(13,982件)を都道府県別にみますと、東京都(2,357件)、⼤阪府(1,500件)、愛知県(1,196件)、埼⽟県(955件)、神奈川県(901件)の順となっており、上位5都道府県で全体の49.6%を占めています。

⽕災種別ごとにみると建物⽕災32,383件にあっては、「こんろ」5,785件(17.9%)、「放⽕」3,871件(12.0%)、「たばこ」3,255件(10.1%)、「放⽕の疑い」2,558件(7.9%)、「ストーブ」1,854件(5.7%)の順となっています。

林野⽕災1,820件では、「たき⽕」470件(25.8%)、「たばこ」248件(13.6%)、「⽕⼊れ」229件(12.6%)、「放⽕の疑い」172件(9.5%)、「⽕あそび」114件(6.3%)の順となっています。

⾞両⽕災7.373件では、「放⽕」1,160件(15.7%)、「放⽕の疑い」775件(10.5%)、「排気管」762件(10.3%)、「衝突の⽕花」312件(4.2%)、「内熱機関」303件(4.1%)の順となっています。

その他⽕災14,615件では、「放⽕」3,117件(21.3%)、「放⽕の疑い」2,241件(15.3%)、「たき⽕」1,826件(12.5%)、「たばこ」1,568件(10.7%)、「⽕あそび」975件(6.7%)の順となっています。

6 消防庁の対策について
(1) 住宅防⽕対策への取り組み

住宅⽕災における放⽕⾃殺者等を除く死者数は、1,070⼈(78⼈増)と昭和61年以来の1,000⼈超となっています。このうち65歳以上の⾼齢者は610⼈(85⼈増)であり6割弱を占めています。

消防庁では、⾼齢社会の進展に伴う⾼齢者の被害を軽減するため、平成3年から住宅防⽕対策推進協議会を中⼼として住宅⽤⽕災警報器等の普及など住宅防⽕対策を積極的に推進してきましたが、近年の死者の急増はキャンペーン中⼼の対策には限界があることが指摘されていました。

これに対応するため、平成15年12⽉24⽇の消防審議会において、⼀般住宅に住宅⽤⽕災警報器等の設置を義務づけること等を内容とする答申がなされました。

消防庁では、本答申を踏まえ、「消防法及び⽯油コンビナート等災害防⽌法の⼀部を改正する法律案」を今通常国会に提出しています。

(2) 放⽕対策への取り組み

放⽕及び放⽕の疑いによる⽕災は13,982件で、全⽕災の24.8%を占めています。

消防庁では、平成12年に「放⽕⽕災予防対策マニュアル」を作成し、全国の消防機関に配布していますが、放⽕⽕災を防ぐためには、⼀⼈ひとりが放⽕対策を⼼がけるだけではなく、地域全体として放⽕されない環境を作ることが重要です。

特に連続放⽕の発⽣地域においては、可燃物を放置しない、夜間にゴミを出さない、門灯を終夜点灯するなどの基本的な対策及び関係⾏政機関と地域住⺠が協⼒して、街灯の増設、炎センサー、対⼈センサーと連動した照明や監視カメラの設置などの対策を推進するなど、地域全体による、より⼀層の警戒態勢を構築することが必要です。

消防庁では、平成14年度から、特に連続放⽕にねらいを絞り、消防本部、関係⾏政機関等からなる検討会を開催し、連続放⽕の発⽣している地域との連携を強化し、連続放⽕に対する具体的な対策とその進め⽅などについて、検討を進めています。

平成15年における⽕災の概要(概要)
1.全国の概況
(1) 出⽕件数

平成15年における出⽕件数は56,329件で、これはおおよそ1⽇あたり154件、9.4分に1件の⽕災が発⽣したことになります。

これを⽕災種別ごとにみますと、次表のとおりです。

種別件数構成⽐(%)前年⽐較増減数(%)
建物⽕災32,38357.5%-1,788-5.2%
林野⽕災1,8203.2%-1,523-45.6%
⾞両⽕災7,37313.1%-412-5.3%
船舶⽕災1350.2%2219.5%
航空機⽕災30.0%-1-25.0%
その他⽕災14,61525.9%-3,620-19.9%
総出⽕件数56,329100.0%-7,322-11.5%

(2) 死傷者数
平成15年における死傷者数は、次表のとおりです。

⼈数前年⽐較1⽇あたり発⽣割合
死者数2,254190.9%6.2⼈⽕災25.0件に1⼈
負傷者数8,446-340-3.9%23.1⼈⽕災6.7件に1⼈


2.建物⽤途ごとの死者発⽣状況
建物⽕災32,384件を建物⽤途別にみますと、次表のとおりです。

⽤途別件数構成⽐
住宅12,27337.9%
共同住宅5,33516.5%
複合⽤途(特定) 2,2026.8%
⼯場2,1806.7%
併⽤住宅1,3474.2%
倉庫1,0743.3%
複合⽤途(非特定)1,0673.3%
事務所7852.4%
飲⾷店6932.1%
物品販売店舗5451.7%
学校3941.2%
旅館1760.5%
神社・寺院1540.5%
病院1450.4%
遊技場1160.4%
駐⾞場1110.3%
社会福祉施設940.3%
その他の⽤途の建物⽕災3,69211.4%
32,383100.0%

3.出⽕原因ごとの⽕災発⽣状況
 (1) 全⽕災
全⽕災56,329件を出⽕原因別にみますと、次表のとおりです。

原因別件数構成⽐
放⽕8,22714.6%
こんろ5,85610.4%
放⽕の疑い5,75510.2%
たばこ5,3179.4%
たき⽕2,8835.1%
⽕あそび1,9763.5%
ストーブ1,8773.3%
電灯・電話等の配線1,4652.6%
⽕⼊れ1,1002.0%
配線器具1,0241.8%
マッチ・ライター9441.7%
電気機器8851.6%
排気管8411.5%
溶接機・切断機6141.1%
灯⽕5761.0%
電気装置5250.9%
焼却炉5000.9%
風呂かまど4550.8%
内燃機関3450.6%
衝突の⽕花3290.6%
煙突・煙道2980.5%
取灰2390.4%
1360.2%
その他7,48513.3%
不明・調査中6,67711.9%
56,329100.0%

 (2) 建物⽕災
建物⽕災32,383件を出⽕原因別にみますと、次表のとおりです。

原因別件数構成⽐
こんろ5,78517.9%
放⽕3,87112.0%
たばこ3,25510.1%
放⽕の疑い2,5587.9%
ストーブ1,8545.7%
電灯・電話等の配線1,0673.3%
⽕あそび8572.6%
配線器具8192.5%
電気機器6762.1%
灯⽕5431.7%
たき⽕5251.6%
マッチ・ライター4691.4%
風呂かまど4401.4%
溶接機・切断機3591.1%
電気装置3081.0%
煙突・煙道2760.9%
焼却炉2120.7%
取灰1730.5%
⽕⼊れ1100.3%
ボイラー1080.3%
100.3%
こたつ990.3%
かまど760.2%
その他3,84911.9%
不明・調査中3,99112.3%
32,383100.0%

4.死者数の発⽣状況
 (1) ⽕災種別ごとの死者発⽣状況
死者2,254⼈について⽕災種別ごとにみますと、次表のとおりです。

種別⼈数構成⽐
建物⽕災1,49966.5%
林野⽕災180.8%
⾞両⽕災31413.9%
船舶⽕災50.2%
航空機⽕災10.0%
その他⽕災41718.5%
2,254100.0%

 (2) 建物⽤途ごとの死者発⽣状況
建物⽕災における死者1,499⼈について⽕災種別ごとにみますと、次表のとおりです。

⽤途別⼈数構成⽐
住宅1,01167.4%
共同住宅24716.5%
併⽤住宅654.3%
複合⽤途(特定)442.9%
複合⽤途(非特定)312.1%
飲⾷店50.3%
旅館20.1%
物品販売店舗10.1%
料理店10.1%
その他の⽤途の建物⽕災926.1%
1,499100.0%

(3) ⽕災種別ごとの負傷者発⽣状況
全負傷者8,446⼈について⽕災種別ごとにみますと、次表のとおりです。

種別⼈数構成⽐
建物⽕災7,29186.3%
林野⽕災800.9%
⾞両⽕災3764.5%
船舶⽕災310.4%
航空機⽕災00.0%
その他⽕災6687.9%
8,446100.0%

(4) 建物⽤途ごとの負傷者発⽣状況
建物⽕災における負傷者7,291⼈を建物⽤途別にみますと、以下のとおりです。

⽤途別⼈数構成⽐
住宅3,41946.9%
共同住宅1,46820.1%
複合⽤途(特定)4976.8%
併⽤住宅3544.9%
複合⽤途(非特定)2753.8%
飲⾷店1191.6%
旅館550.8%
物品販売店舗360.5%
病院350.5%
社会福祉施設190.3%
遊技場120.2%
料理店70.1%
劇場50.1%
公会堂50.1%
地下街50.1%
その他の⽤途の建物⽕災98013.4%
7,291100.0%

(5) 死者の発⽣した経過ごとの死者発⽣状況
死者2,254⼈について、死者の発⽣した経過別にみますと、次表のとおりです。

経過別⼈数構成⽐
逃げ遅れ87839.0%
出⽕後再進⼊331.5%
着⾐着⽕1245.5%
放⽕⾃殺(⼼中含む)81136.0%
放⽕⾃殺巻き添え231.0%
その他38517.1%
2,254100.0%

(6) 年齢層ごとの死者発⽣状況
死者2.254⼈について、年齢別にみますと、次表のとおりです。

年齢別⼈数構成⽐
5歳以下391.7%
6歳〜64歳以下1,29457.4%
65歳以上90840.3%
年齢不明130.6%
2,254100.0%

(7) 住宅⽕災における死者の発⽣状況
ア 住宅⽕災におけるにおける死者発⽣状況

経過別⼈数構成⽐前年⽐較増減率
逃げ遅れ75156.8%649.3%
出⽕後再進⼊272.0%735.0%
着⾐着⽕554.2%-12-17.9%
放⽕⾃殺(⼼中含む)24118.2%125.2%
放⽕⾃殺巻き添え120.9%0-
その他23717.9%198.7%
1,323100.0%907.3%

(参考)

住宅以外建物⽕災
62813
431
1772
40281
416
49286
1761,499

イ 住宅⽕災における年齢別死者の発⽣状況(放⽕⾃殺等を除く)

年齢別⼈数構成⽐前年⽐較増減率
5歳以下323.0%623.1%
6歳〜64歳以下42840.0%-13-2.9%
65歳以上61057.0%8516.2%
1,070100.0%787.9%

【⽕災の概要】

区分 平成15年累計
(A)
前年累計
(B)
増減数
(A)-(B)=(C)
増減率
(C)/(B)*100
総出⽕件数(件)56,32963,651-7,322-11.5%
建物32,38334,171-1,788-5.2%
林野1,8203,343-1,523-45.6%
⾞両7,3737,785-412-5.3%
船舶1351132219.5%
航空機34-1-25.0%
その他14,61518,235-3,620-19.9%
焼損棟数(棟)43,30047,460-4,160-8.8%
り災世帯数(世帯)29,36231,268-1,906-6.1%
建物焼損床⾯積(㎡)1,626,1461,649,751-23,6051.4%
建物焼損表⾯積(㎡)164,560196,454-31,894-16.2%
林野焼損⾯積(a)105,041263,353-158,312-60.1%
損害額(千円)145,392,787167,373,016-21,980,229-13.1%
死者数合計(⼈)2,2542,235190.9%
(うち放⽕⾃殺者)811863-52-6.0%
建物1,4991,426735.1%
(うち住宅⽕災)1,3231,233907.3%
林野181715.9%
⾞両314336-22-6.5%
船舶514400.0%
航空機15-4-80.0%
その他417450-33-7.3%
負傷者数合計(⼈)8,4468,786-340-3.9%
建物7,2917,416-125-1.7%
林野80159-79-49.7%
⾞両376425-49-11.5%
船舶311120181.8%
航空機000
その他668775-107-13.8%

【都道府県ごとの出⽕率】

都道府県出⽕件数死者数⼈⼝出⽕率死者発⽣率都道府県出⽕件数死者数⼈⼝出⽕率死者発⽣率
北海道 2,2951155,662,8564.12.03滋賀県 477271,348,2413.52.00
⻘森県666431,487,4514.52.89京都府737432,563,7732.91.68
岩⼿県599271,411,1764.21.91⼤阪府3,986438,643,6774.61.41
宮城県1,1391,182,0254.23.30奈良県461251,441,9713.21.73
⼭形県462341,232,5783.72.76和歌⼭県467161,079,0554.31.48
福島県1,219672,122,6135.73.16⿃取県26420615,8124.33.25
茨城県1,646742,993,7465.52.47島根県39621756,7705.22.77
栃⽊県1,081492,005,4675.42.44岡⼭県957331,957,3134.91.69
群⾺県923342,022,6664.61.68広島県1,280512,870,5424.51.78
埼⽟県2,8971046,954,2764.21.50⼭⼝県653311,517,9544.32.04
千葉県2,551965,978,2874.31.61徳島県30613827,0863.71.57
東京都6,29915111,996,4605.31.26⾹川県413221,031,1854.02.13
神奈川県2,9601008,546,8573.51.17愛媛県626381,502,4964.22.53
新潟県849692,463,7403.42.80⾼知県37120813,2374.62.46
富⼭県265191,120,8432.41.70福岡県2,195685,001,5924.41.36
⽯川県356211,176,1003.01.79佐賀県43117878,7974.91.93
福井県25411826,4003.11.33⻑崎県601201,516,9204.01.32
⼭梨県54724884,1706.22.71熊本県60431,866,5534.12.30
⻑野県942432,202,7334.31.95⼤分県535231,229,6594.41.87
岐⾩県942382,109,1854.51.80宮崎県551231,179,9834.71.95
静岡県1,690613,769,7764.51.62⿅児島県1,051431,775,6365.92.42
愛知県3,6361376,998,0275.21.96沖縄県441201,353,2123.31.48
三重県1,037361,858,1145.61.94都道府県計56,3292,254126,688,3644.41.78

*出⽕率︓⼈⼝1万⼈あたりの出⽕件数。
死者発⽣率︓⼈⼝10万⼈あたりの死者数。
⼈ ⼝︓平成15年3⽉31⽇現在の住⺠基本台帳による。





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