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2014年6月

2.風水害による被害を減らすため

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風水害に対する備え

総務省消防庁 防災課

 我が国では毎年、台風や梅雨前線などの影響により多量の降雨があります。昨年は、「平成25年7月28日の島根県及び山口県の大雨」、「平成25年8月9日からの東北地方を中心とする大雨」や、台風第18号、台風第26号等による大雨で洪水や土砂災害が発生し、甚大な被害が発生しました。

洪水
 流域に降った大量の雨水が河川に流れ込み、特に堤防が決壊すると、流域では大規模な洪水被害が発生します。また近年、短期間に局地的に激しい雨が降り注ぎ、山間部や都市部の中小河川に一気に流れ込み、平常時には川遊びができるような穏やかな河川が増水して勢いを増し、氾濫して流域に甚大な被害をもたらす事例が各地で発生しています。
 平成25年6月から8月の大雨では、局地的に降った非常に激しい雨等により、中小の河川が増水し、岩手県、秋田県、島根県、山口県を中心に浸水被害が生じました。

土砂災害
平成25年の島根県及び山口県の大雨の被災現場(島根県津和野町提供)
平成25年の島根県及び
山口県の大雨の被災現場
(島根県津和野町提供)
 大雨により、地中に含まれる水の量が多くなると土砂災害が発生しやすくなります。大雨のときには、土石流、がけ崩れ、地すべりなどの土砂災害に厳重に警戒する必要があります。
 平成25年9月の台風第18号では、四国から北海道の広い範囲で大雨となり、浸水被害や土砂災害による被害がもたらされました。また、平成25年10月の台風第26号では、東日本から北日本の太平洋側を中心に大雨となり、特に東京都大島町では記録的な大雨により、大規模な土砂災害が発生しました。これらの災害により、多数の死傷者・行方不明者が生じました。

局地的な大雨による災害
 近年は、短時間強雨の回数が増加傾向にあり、短時間に局地的に非常に激しい雨が降ることで中小河川の急な増水、アンダーパスの浸水等を引き起こし、被害を生じさせる事例が多く発生しています。

※アンダーパス:交差する鉄道や他の道路などの下を通過するために掘り下げられている道路などの部分をいいます。周囲の地面よりも低くなっているため、大雨の際に雨水が集中しやすい構造となっています。

早めの避難が命を救う
 風水害による人的被害を減らすには、早めの避難が欠かせません。市町村から避難勧告・指示などの発令があった場合は、すぐに安全な場所に避難しましょう。また、気象情報や市町村からの情報等をチェックし、少しでも危険と思われる場合は速やかに避難することが重要です。
平成25年台風第26号の被災現場(東京都島町)(さいたま市消防局提供)
平成25年台風第26号の被災現場
(東京都島町)
(さいたま市消防局提供)
 危険が迫る前に避難を完了しておくことが一番ですが、暗い時間帯や、雨が降る中、避難をしなければならない場合も考えられますので、避難所の位置や、避難所までの道筋を日頃から確認しておくことが重要です。
 浸水等により避難所までの歩行等が危険な状態になった場合には、生命を守る最低限の行動として、自宅や隣接する建物の2階以上へ緊急的に避難するなど、臨機応変な対応をとる必要があります。

災害による被害を減らすためにできること
 災害による被害を最小限にとどめるためには、地域住民の皆さん一人ひとりが災害に対して日頃から備えておくことが必要です。
 また、災害時の避難において支援を要する方々が迅速・安全に避難できるように、いざという時に誰が支援し、どの段階でどうやって避難するかなど、具体的な避難支援計画を定めておくことが重要です。
 都道府県や市町村では、総合防災訓練や防災に関する講演会・展示などのイベントを実施しています。また、地域の自主防災組織でも防災訓練が実施されていますので、こうしたイベントや訓練にぜひ参加して、いざという時に取るべき行動などを今一度確認してみてください。

(総務省消防庁「消防の動き」2014年5月号より)

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