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2011年5月

4.住警器共同購入等の事例紹介 ~第10回~

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民間事業者との協力によるイベント等の啓発活動(奈良県橿原市 他)

 住宅用火災警報器(以下「住警器」という。)の普及のためには、機能や効果、法改正などについて広く市民に周知することが重要です。一方、消防本部や消防団等においては、啓発活動のための費用が捻出できないという悩みがあります。
 今回は、民間事業者との協力で「住宅用火災警報器フェア」を開催した事例を紹介します。

(総務省消防庁「消防の動き 2011年4月号」より)

(1)地域・取組主体の概要

 関西圏の多くの自治体は既存住宅への設置期限が平成23年であるのに対して、奈良県は平成21年であった。そのため、中和広域消防組合では早くから周知活動に取り組み始めた。

取組主体:中和広域消防組合
人数等:
消防署等:中和広域消防組合
職員数:275人
地域:奈良県大和高田市・橿原市・御所市・高取町・明日香村
人口/世帯数:7万0,800 人/2万5,498 世帯(大和高田市)
12万4,728 人/ 4万5,379 世帯(橿原市)
3万2,273 人/1万0,848 世帯(御所市)
7,914 人/2,398 世帯(高取町)
6,343 人/1,815 世帯(明日香村)
キーワード:●広報・周知(新聞・広報誌等、掲示物・配布物、イベント、セミナー)
●共同購入


平成17年 「住宅防火フェア」の開始
平成18年 「住宅防火フェア」2回目・3回目の実施
認識度についてのアンケートを実施
消防署内のエデュケーションルームにモデルルームを設置


平成19年3月「住宅用火災警報器フェア」の実施
工夫点
①商業施設のイベント広場の利用
②複数のメーカーによる展示ブースの出展
③「捨てられない」パンフレット類の作成
その他の活動
④アンケート調査による普及率調査、指導
⑤「中和消防だより」等広報誌における啓発活動
⑥小売店レシートを使った広報

(2)共同購入の取組概要

 平成19年には商業施設のイベント広場を用い、複数のメーカーによる住警器展示を含めた「住宅用火災警報器フェア」を開催するに至った。

(3)工夫点の紹介

住宅防火フェアの様子
住宅防火フェアの様子
工夫点①:商業施設のイベント広場の利用
●実施内容
 近隣の大規模小売店舗のイベント広場を使用してフェアを実施した。

●ポイント
 商業施設との事前の打合せなどに多くの労力が必要になると考えられるが、住警器や火災予防に関するイベントを単独で開催する場合と比較して、買い物のために来店した人が立ち寄ってくれるため、集客力が期待できる。
 婦人(女性)防火クラブにおける日常の活動や情報収集を活発に行っていることが、早くからの取組開始につながっている。

工夫点②:複数のメーカーによる展示ブースの出展
●実施内容
 住警器製造販売メーカー8社の協賛により、販売は行わない前提での展示ブースを出展してもらった。ブースの設定や資器材の借用、広報物の提供についても協力が得られた。

●ポイント
 メーカー社員が参加することにより、市民からの質問等に対して専門的な説明が出来た。

パンフレット
パンフレット
工夫点③:「捨てられない」パンフレット類の作成
●実施内容
 裏面をぬりえやペーパークラフトにして、持ち帰ってもすぐに捨てられないようにした。

●ポイント
 多くの自治体や消防署で取り入れられている事例であるが、パンフレットの内容に目を通してもらうための記事自体の工夫に加え、裏面の工夫も重要である。

工夫点④:アンケート調査による普及率調査、指導
●実施内容
 消防本部の管轄下の全世帯に対して、住警器設置の有無についての調査票を配付、回収した。
 結果は自治会ごとに集計し、それぞれの自治会を管轄する消防署(中和消防本部の下に4消防署)に示した。

●ポイント
 普及率についての定量的データがあることで、消防署が指導すべき優先順位が明確になるなどの効果が期待できる。

工夫点⑤:「中和消防だより」等広報誌における啓発活動
●実施内容
 消防だより(現在は年1回発行)は予算の都合上等で全戸配布ではなく、事業所や学校などへの配布となっている。
 その他、企業の協力を得て、商工会議所の機関誌(毎月発行)に消防のページを確保してもらっている。

●ポイント
 「消防だより」の記事では、設置義務があることの広報だけではなく、「設置が火災被害の局限化に奏功した例」を掲載しており、設置の効果をわかりやすく説明している。

工夫点⑥:小売店レシートを使った広報
●実施内容
 小売店のレシート上部の、期間ごとのセール情報等を掲載できる欄を使用して、住警器に関する情報を掲載した。掲載期間は特に定めず、各店舗の販売促進活動等に応じて、店舗側の判断で掲載してもらった。店舗ごとに依頼・実施した場合も、地域の統括本部等でまとめて複数箇所の店舗について依頼・実施した場合もあった。

●ポイント
 費用をかけずに、消費者の目に付きやすい場所への掲載を行うことができる。

(4)その他のポイント等

その他の広報活動
 自治会を通じた広報活動が重要であった。その他の周知のための活動としては、一般市民向けに先立って、平成18年7月、管内の住警器販売業者(設計会社、工務店、消火設備販売・点検会社、住宅販売会社等)向けの説明会を実施した。業界団体や商工会等を通じて周知のためのFAXを送信し、約90名の参加を得た。
 不正販売対策として、相談窓口となる県や自治体の窓口担当者向けの説明を実施した。
●共同購入への取組
 まずは身内から、と職員互助会主催で職員向け(一部親戚や消防団等も含む)の共同購入を3回実施した。
 自治会向けには、共同購入の斡旋等は行っていないが、共同購入の仕組み自体は指導している。

 次回は、婦人(女性)防火クラブ会員が、けん引役となり地域住民の防火意識の底上げ及び設置促進を行った事例「婦人(女性)防火クラブによる地区全世帯への設置促進(取組主体:伊予市湊町婦人防火クラブ(愛媛県伊予市))」を紹介します。
 なお、本ノウハウ集は消防庁ホームページ(住宅防火情報)でもご覧いただけますので、参考としてください。
 〈リンク先〉http://www.fdma.go.jp/html/life/juukei.html

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