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2-2 リーダーとしての心構え




1 災害時の活動の実際

阪神・淡路大震災では、応急時の活動によって大きな明暗を分けたといわれています。被害自体の規模、衝撃の強さにもよりますが、地域社会の結束や日頃の活動の程度が、応急時の活動の可否を大きく左右し、それが被害の拡大や抑制に大きな影響を及ぼしました。

親族・近隣関係が濃密な農村型の地域社会では、例えば淡路島の北淡町富島地区の事例のように、震源地に近く被害が甚大で全半壊の建物が8割に達していたにもかかわらず、近隣どうしでの救出活動が迅速に行われ、さらに消防団の活躍により、行方不明者の発見が地震当日の夕方には終了しました。都市地域でも神戸市長田区真野地区の場合のように、日頃のつきあいの濃密さに加え、自治会を中心とした住民の地域活動の実績と組織力を駆使して、火災延焼をくい止め、高齢者を倒壊家屋から救出し、救援物資を組・班ルートを通じて整然と配布したところもあったといわれています。

こうした事例は、必ずしも例外的な事例とはいえませんが、テレビや新聞報道で頻繁に取り上げられた、自主防災活動がほとんどなされず、災害の中で、なすすべもなく翻弄され悲惨な状態におかれた多くの地域とのコントラストは衝撃的でした。

リーダーの役割の重要性は、関東大震災のとき燃え広がる火災を必死でくい止めた神田佐久間町や宮城県沖地震の際、冷静沈着な対応で混乱を避けた自治会の動きなどからも知ることができます。

こうした阪神・淡路大震災をはじめとする災害から得られた教訓として、応急時の活動の中心となる<拠点の確保>の重要性が指摘されています。すなわち、応急時には、いち早く活動拠点を確保し、役員が常駐できる体制を確立して情報伝達・連絡のしくみを立ち上げていくことが重要です。活動拠点としては、当然のことながら、日頃から地域住民に十分認知されている場所が望ましいといわれています。

災害時の活動の実際