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2-1 リーダーシップとは?




1 組織におけるリーダーシップの発揮

リーダーシップの発揮

リーダーシップに関する研究によれば、一般にリーダーシップという機能は、目標達成や課題解決を指向したP機能(performance、目標達成)と、集団の維持を指向したM機能(maintenance、人間関係の維持)の大きな2つの概念によって類型化されます。実験室における研究や現場調査によれば、リーダーがこれら2つの機能のどちらを優先するかによって集団の性格や行動は影響を受けるといわれています。

また、これら両機能の効果は、集団全体の構造によっても異なりますし、状況によって有効とされるリーダーシップの型も異なります。ただ目標達成機能、人間関係維持機能を兼ね備えたリーダーシップの型が最も集団の行動能力が高まり、その両機能ともに弱い型では最も集団の行動能力は低くなるという結果があらわれています。

婦人防火クラブがかかわる活動は、活動内容や計画の策定から日常的な人間関係の調整など多彩な側面があり、さらに日常活動場面のみならず緊急時の活動場面も想定しなければならないとなると、リーダーシップのあり方としてはぜひこの両機能を意識し備えるべきだということになるでしょう。ただし、ひとりの人間の性格を考えると得手不得手もあり、必ずしも両機能を十分に発揮させられない場面も想定されます。したがって、そうした場合には、この両機能を集団の中でうまく発揮させられるように、自分の弱点をカバーできるサブリーダーと密接に連携を取り合って集団運営を進め、リーダーシップを発揮していくような工夫も必要になります。


2 サブリーダーの発掘と活用

また、婦人防火クラブが主として対象にする防火・防災という活動領域を念頭においた場合、若い会員を増強する必要性がこれまでずっといわれ続けてきました。担い手の年齢層の拡大とサブリーダー群の新たなリクルートは、集団活動を活性化させるうえで必要なことは言うまでもありません。いざというときに活動力を発揮できるクラブになるためには、比較的若いサブリーダーをきちんと確保し、リーダーとしての権限もある程度まで委譲する体制は必須でしょう。なお、年齢層も広く職業や生活環境も異なる人々を含みうる婦人防火クラブという性格を考えた場合、それぞれの生活の実情の中でより生活実感に沿った啓発活動を展開するうえでは、できるだけ多様な人々にサブリーダーとしてかかわってもらう努力は欠かせないと思います。さらに、現代の社会環境の変化に対応して、地域にかかわっているさまざまな技能や技術をもつ人々やボランティア活動をやっている人たちとも、日常的に連携をとって、できるだけ活動を理解してもらい参加してもらうよう働きかけるなど、人材の新たな発掘と活用を心がけるべきです。