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4-2 日常生活の場面からの広がりを意識した活動




3 地域社会における取り組み

安全で安心できる生活は、家庭を取り巻く地域社会の安全が確保されて、はじめて可能になると言ってもよいでしょう。また、地域社会の中で、防火や防災に対する意識が高ければ、個々の家庭の意識も自ずと高められていくことでしょう。上述の研修会・学習会なども、それぞれの地域の事情にあった知識が習得できるように、地域住民の婦人防火クラブが主体的に企画し、実施していくことが理想です。

ここでは、家庭を取り巻く地域社会の中で取り組むべき課題を検討していきますが、近年、とくに都市部に住む人々の生活圏はかなりの広がりを見せています。首都圏の通勤時間は、平均で1.5時間と言われており、「埼玉都民」「千葉都民」などという言葉も生まれています。つまり、自分の地域を遠く離れているときに、災害や事故などの危険に遭遇する機会が増えているのです。そうした傾向を念頭におきながら、個々の生活圏域の広がりに合わせて、対応策・行動基準を考えておく必要があります。

そこで、以下では、災害時の対応行動や災害対策の実務を念頭において、一定の範域を設定し、その範域の中で取り組むべき(取り組めば有効である)防火(防災)対策とは何であり、またそれらはどのように講じていくことが効果的なのか、について考えてみたいと思います。


(1)近隣住区:単位自治会・町内会で行いやすい/行うことが効果的な取り組み

1,防災マップの作製
「遠くの親戚より近くの他人」という言葉もある通り、とにかく初動が肝心な消火は、この単位での取り組みが重要な意味をもちます。災害時の救出・救助なども、同様に初動が肝心であり、この範域での取り組みが重要になります。そこで、こうした初動対応を速やかに行っていくための一つの仕掛けとして、近年、「防災マップ」づくりが進められています。地域住民自らが行う地図づくりは、自分たちの街を知り、その弱点を把握する非常に良い機会を提供してくれると言えます。
防災マップの作製