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婦人防火クラブリーダーマニュアルの訓練・実践編として、本編では、いざというときに婦人防火クラブが活躍するために必要な技術や能力の習得・向上をめざした訓練、さらに災害時に必要とされる実践的な活動のありかたを中心に描いています。既に上梓したリーダーマニュアルの日常活動編が、災害に強いしくみづくりをめざすためには、地域においてどのようにして防火や防災についての問題関心を高め組織づくりを進めていったらよいか、また、日頃から地域で潜在的・顕在的に抱えている安全上の問題を把握し、それにどのように対処していったらよいかに焦点をおいた日常的活動編であったのに対し、訓練・実践編はより具体的・実践的に災害時に必要とされる個別の活動に即して、その活動を進めていくうえでのポイントやノウハウ、準備すべき事柄や技術向上のためのトレーニング方法などを掲載した実践・応用編になっています。婦人防火クラブのリーダーには、是非この2編のサイトをうまく活用して、リーダーとしての資質を高めて、地域での組織活動を充実させ、より安全で安心な環境をつくる努力をしていただければと願っています。

本サイトでは、取り上げる分野ごとの訓練・実践編の記述に際して、そうした訓練を行うねらいを災害時の実際に照らして描く(concept)とともに、そうした訓練の重要性や訓練のねらいなどを裏付けるデータ(data)を出来るだけ示し、訓練としてこれまで蓄積されてきた手法やノウハウのエッセンス(know-how)をポイントとして示したうえで、必要な技術や能力の習得・向上にはどのような訓練(training)をしていけばよいのかに関して、訓練事例や活動例などを紹介しています。

非常時において適切な活動を行うためには、マニュアルに沿った行動がとれるようになるだけではなく、活動の要諦を押さえることで応用力を発揮できるようにすることが必要です。災害の実際に照らして訓練のねらいを明らかにすることや関連したデータの提示は、それに役立つと思います。また、実際に効果的な訓練を繰り返すことによってはじめて実践力を身に付けていくことが可能になります。訓練の手法やノウハウをポイントとして示すことや効果的な訓練事例・活動事例を紹介することは、自分たちがこれまで行ってきた活動を見直し、より効果的な訓練を進めていくうえでも参考になると思います。

これまで述べてきたように、自分たちの地域での日頃の訓練は必須ですが、同時にそれを臨場感ある場で試して訓練と実際とのずれを意識し、そのずれを埋めていく努力をはかっていくことも活動を実践的・効果的にしていくうえでたいへん重要です。このリーダーマニュアルでも紹介している図上演習や突発型訓練手法などは、こうしたずれを埋めるひとつのしかけですが、それ以外に他地域の災害発生に対して積極的な支援活動に取り組むこともたいへん有効です。被災現場における臨場感のある活動は、これまでの活動を見直し被災の原点を見つめるきっかけになるからです。

日常的な啓蒙活動と非常時を想定した訓練や実践活動は、車の両輪であるとともに相互に深く関連しあっている活動でもあります。その点では、リーダーマニュアルの内容も、日常活動編と訓練・実践編に分けてはありますが、相互に関連しあっており、そのため記述に際して重複する部分が出てきます。訓練・実践編ではそのことを意識して、常に日常活動編との関連性を把握できるようにリンク先を明記するなどの工夫を施しました。また、日常活動編に掲載された〈特集:「簡易図上訓練」の実施と訓練用「被災シナリオ作成」の方法〉は、訓練・実践編の〈特集:図上訓練の活用―実践的防災訓練のために―〉とほぼ同じテーマでつながっており、日常活動編と訓練・実践編との関連性をわかりやすく理解できるようにしています。これらの特集では、地域活動で最も重要な活動と思われるポイントを軸にしながら、日常活動という視点からと、いざというときのための実践・応用的な活動という視点とを絡ませてみています。

『訓練・実践編 ― いざという時のために ―』を、『日常活動編 ― 災害に強いしくみづくりをめざして ―』と是非併読していただき、日常活動のなかで地域のあり方を把握し問題点を改善していく糸口にしていただくと同時に、組織の災害時における応用力・実践力を高めていっていただければと思います。

平成16年3月
婦人防火クラブリーダーマニュアル作成に関する委員会
委員長 篠田 伸夫