トップページ日常活動編へ索引

  災害時のトイレ問題〜トイレ・パニックに陥らないために〜




  利用者にとっての利便性・安全性の配慮 …特に災害時要援護者対応を考える

災害時にあっては、身体障害者や高齢者に対応した、災害用トイレの設置・管理についても十分配慮される必要があります。
また、女性や子どもが安心して使えるかどうかも重要な課題です。
このような配慮がきちんとなされることで、災害時におけるトイレ対策全般の向上が図られ、それはそのまま、被災者全体の健康の維持、安全の確保、避難生活の安定につながることになります。
配慮のポイント
●段差がないか
●洋式便器があるか
●避難所等の屋内で利用できるか
●手すりが備えてあるか
●暗い、怖いといった不安への対応が可能か
(例:照明や警報設備、設置場所への配慮)など

「トイレ・パニック」は現実に起こった〜阪神・淡路大震災(1)

□避難所で
避難所では、避難者が避難しだしてすぐに、水の出ない水洗トイレがみるみる便の山になり、人目につかない木陰や校庭のすみで用を足す人が出始めました。プールや河川の水を利用できたところは一応その日から水洗トイレが使えましたが、バケツで運んでいるため、少量の水ではすぐ詰まることもありました。
●神戸市兵庫区の浜山小学校では、リーダーとなった被災者が手で汚物を取り除き、詰まりを直した。そのあと、それを手に取り皆の前で、「見てくれ、水が不足しているのに今まで通り紙を流したためだ。これからは注意して使い、掃除当番もプールの水くみも皆でやろう」と、勇気をもって呼びかけた。その後トラブルがなくなった。
●神戸市中央区の春日野小学校では、トイレに流すプールの水がなく、地震から12日目に9基の仮設トイレが届くまで困り果てた。長田区御蔵小学校でも、周囲が大火災に見舞われたため、消火活動で水を使い切ってしまっていた。
●便の入ったポリ袋の保管場所に困って、自衛隊に校庭の隅に穴を掘ってもらい埋めた避難所がある一方、市役所のゴミ収集車に出した避難所もあり、収集車に入れたとたん袋が破裂、作業員が汚物を浴びた例もあった。
□家庭で、まちなかで
●「都会生活に慣れきっているものにとって、トイレが“個室”で“水洗”が当然と思っていました。道路が陥没していて夜、歩けないため、屋外での排便が公然と行われました〈中略〉これが仕方のない事実です」
●「トイレの水の確保に奔走した。苦しい思いをして得た水をトイレに使うのはつらかった」という声が多かった。
●用便後は新聞紙に包み、何重にも重ねたビニール袋に入れて大型のゴミバケツにしまいこんでおく。小便はそのつど流さず、3、4回ごとにまとめて流す。トイレットペーパーはビニール袋にためておく、などさまざまな工夫がされた。