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2-4 搬送訓練の実際・訓練方法




1 搬送訓練の実際

阪神・淡路大震災では、30〜50代の男性の3人に1人が救助活動に参加していたというデータが示しているように、近隣の住民による救出・救助が盛んに行われました。しかし、ジャッキやバール等の救出機材がなかったこと、建物倒壊の危険に常にさらされていたこと、延焼火災が迫ったことなどもあって、救助活動は困難を極めました(『神戸大学の住民の初期対応調査』-避難所の避難者1,250人へのアンケートより)。

一方で、婦人防火クラブのリーダーは、救助された住民や寝たきりの高齢者などを、近くの避難所や救護所・医療機関に運ぶ「後方搬送」をスムーズに進めていくという役割を担う可能性が高まります。適切な医療処置を一刻も早く受けることができるようにするため、搬送についても身近な資機材ですぐに対応できるよう、十分な訓練を行っておきましょう。

なお、迅速な救助活動を行うためにも、事前に地域のどこに避難支援などを必要としそうな人(高齢者などの災害時要援護者)がいるのかという情報を共有することが重要です。そのうえでさらに、いざというときの救出・搬送体制づくりを地域で進めていきましょう。(→『日常活動編』「地域防災カルテや防災地図にまとめておきたいこと」「災害弱者の情報把握と日常的なケア」参照)

●イメージトレーニング●
近所の知人が倒壊した自宅の中に生き埋めになっています。建築用の重機があれば、救出できそうですが、無理をすると建物全体がさらに崩れる可能性もありそうです。地域に協力してくれる人・専門家はいますか? あなたはとりあえずどう対応しますか?

2 訓練方法

傷病者の搬送については、人手で運ぶ場合と、担架や身近な資材でつくった応急担架を使う場合があります。いずれの場合も、傷病者にできるだけ動揺をあたえないようにし、最後までその様子を見守ることが大切です。搬送するだけでなく、傷病者役として実際に搬送される体験もしてみると、その不安定感なども実感でき、訓練の重要性がわかります。


人手で傷病者などを運ぶとき

○一人で運ぶとき
背負ったら、手を交差させて移動する。
○二人で運ぶとき
一人は背中から抱え、もう一人は足を交差させて持ち上げ、足のほうから移動する。
○数人で運ぶとき
体の下に手を差し入れて、できるだけ水平に持ち上げ、抱え込んで移動する。
一人で運ぶとき 二人で運ぶとき 数人で運ぶとき